Category Archives: OSMF

Posts about organisation of the OpenStreetMap Foundation. Working groups, the board, and other entities, and how we structure our organisation

UNMaps会議 2024でのOpenStreetMap

OpenStreetMap財団の理事会メンバーであるSarah Hoffmannは、先日、スペイン、バレンシアで開催された第3回UNMaps会議でOpenStreetMapプロジェクトについて発表し、クラウドソーシングされたジオデータに関するパネルディスカッションに参加しました。

UNMaps会議は、国連の様々な組織のGIS専門家が一堂に会する会合で、2024年は約100人が参加しました。国連事務局、ユニセフや国際刑事裁判所(ICC)などの様々な国連機関、そして国連平和維持活動から代表者が参加していました。外部のパートナーや貢献者に対しても作業を発表し、議論に参加するよう定期的な招待が実施されています。OpenStreetMapは、すでに彼らの業務で重要な役割を果たしていることから、OSMF理事会に対して会議へ参加し、OpenStreetMapコミュニティを代表するよう依頼がありました。広範なOSMコミュニティからは、HeiGITの研究者と人道支援組織HOTからマッパーが招待されました。

Sarahは「OpenStreetMapとは何か、は、誰に対しても説明する必要がありませんでした」と述べています。「OpenStreetMapは国連内で日常的に使用され、よく知られています。国連地図部門が国連内で作成する地図は、主に国連の公式方針に従って境界線や名称を置き換えつつ、OSMデータを大量に使用しています。」

“Crowdsourcing Geospatial Information” Panelists from left to right: (host) Michael Montani (UNMappers; (panelists)
Benjamin Herfort (HeiGIT), Sarah Hoffmann (OSMF), Sam Colchester (HOT).

国連の様々な組織が活動する多くの地域では、OpenStreetMapは地理データの最良の(時には唯一の)の情報源となっています。したがって、ほとんどの発表でOpenStreetMapデータを使用した基本地図が紹介されました。しかし、それだけにとどまりません。国連のユーザーも、地図を使用する地域のなかで地図の改善や完成に寄与しており、UNMappers コミュニティが組織的なマッピング活動を行うことで国連をサポートしています。

Sarahは、”地図データのエラーにどう対処するか?” という質問に対し、iDエディタについて活発な議論を交えつつ、OSMとその運営について質問に答えました。 . さらにSarahはデータ品質とマップデータにおける現地の知識の重要性に焦点を当てた、クラウドソーシングデータに関するパネルディスカッションにも参加しました。

議論は廊下でも続きました。Sarahによると、OSMに適したデータの種類、コミュニティと最良の形で関わる方法、そして共通の目標を達成するための平和的協力における世界的コミュニティの一員であることについての非公式な会話がありました。

Sarahは「この会議は相互理解を深める素晴らしい機会となりました。国連の日常業務でOpenStreetMapデータがこれほど多く使用されていることを目の当たりにし、プロジェクトがいかに成長し、さまざまな活動において私たちのデータがいかに不可欠になっているかを改めて実感しました」と述べています。


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor

エンジニアワーキンググループより、ベクトルタイルに関する進捗報告

OpenStreetMap財団のエンジニアリングワーキンググループより、openstreetmap.orgのベクトルタイル作成に関する最新情報をお知らせします。 この作業が重要な理由、これまでの進捗状況とコミュニティのフィードバックを取り入れ方、さらに詳しい技術的な詳細についてご紹介します。

背景

現在、openstreetmap.orgウェブサイトではピクセルで構成される画像タイル、すなわちラスタータイルを配信しています。しかし現在、サイトにベクトルタイルを導入する取り組みが始まっており、地図の見た目と動作が改善されます。プロジェクトの背景については、こちらで詳しく読むことができます。

ベクトルタイルでは、ポイント、ライン、ポリゴンといったベクターデータとして地図が配信されます。ベクトルタイルでは、格納される地理データ(例えばOpenStreetMapを構成するデータなど)はダイナミックなスタイリングとインタラクティビティが可能になります。ユーザーにとって、ベクトルタイルはopenstreetmap.orgでの滑らかなズームが可能な新しくモダンなマップスタイル、データ変更時の迅速な地図更新、よりよいパフォーマンスをもたらします。

さらに今後に焦点を当てた時、このベクトルタイルプロジェクトで実現できる最もワクワクする部分は、ボランティアやタイル利用者の参画が可能になることです。例えば、3D地図、より効率的なデータの組み合わせやその他のデータセットの統合、テーマスタイル、多言語対応の地図、行政境界の異なる表示、インタラクティブな観光地点、視覚障害者向けのより利用しやすい地図、そしてまだ誰も思いついていない他のアイデアが生まれることが期待されます。OSMコミュニティの人々の長年の関心事だったことが多く実現できることでしょう。

計画

ベクトルタイルプロジェクトの目標は、openstreetmap.orgで機能するベクトルタイルの動作環境を一式を提供することです。つまり、世界中のユーザーやサービスから大きな需要があり、地図の根底となるデータが常に変化する、世界規模の複雑なベースマップサイトです。

技術的に言えば、高負荷の世界規模の複雑なベースマップにおいて、毎分単位の更新が必要な動作環境を作成します。

Paul Normanさんが、ベクトルタイルプロジェクトを主導しています。

彼はPostgreSQLデータベースからベクトルタイルを生成する Tilekilnプロジェクト に機能を追加し、ベクトルタイル内のレイヤーやプロパティの命名方式である Shortbreadスキーマを活用し、OSMデータをPostgresデータベースに追加できるThemeparkの改善を行っています。

作業は3つのステップに分かれています。 

1. TilekilnおよびShortbread Themeparkの改善、第1ラウンド

2. 並列処理の改善

3. Shortbreadの本番環境公開

最初の2ステップはほぼ完了しています。Tilekilnは今や並列でタイルを生成できるため、世界全体のタイル生成が実用的になりました。次のステップはOSMFのハードウェアへの本番環境導入の準備です。  

ステップ1の技術的詳細

作業中の技術的詳細に興味がある方のために、上記第1ステップの5つの主要コンポーネントをご紹介します。

        1.        Tilekilnのパッケージ自動化

        2.        Prometheusエクスポーターによる、Tilekilnメトリクスの公開

        3.        Themepark Shortbreadのレビュー

        4.        毎分ごとのShortbreadタイルの更新とオンデマンドのタイルレンダリングを行うデモサーバーの運用

        5.        コミュニティへのデモの公開

1と2は議論の必要なく完了しています。3については、osm2pgsqlのThemepark Shortbread実装にレイヤーが欠けているなど、Paulさんがいくつかの問題を発見したため、予想以上の工程が必要だと判明しました。  

4と5は完了しています。Paulさんのデモサーバーは1分ごとの更新で動作しており、必要なハードウェア要件は予想より控えめでした。  

コミュニティからも有用なフィードバックが寄せられています。例えばPaulさんのOSMコミュニティフォーラムへの投稿へもフィードバックが投稿されています。

コミュニティからは多くの提案がありました。その中にはすでに取り入れられたものもあります。コミュニティから提案された範囲内の残課題は、曲線がギザギザに描画されること、ベクトルタイルが大きすぎることです。

ギザギザの線の問題は、ベクトルタイル内でスムーズな曲線がどのように表現されているかによるものです。おおむね対処済みですが、同様の問題が将来的に発生することが予想されます。標準タイルレイヤーの最小縮尺に相当する縮尺が設定されました。より小さなスケールにズームインすることは可能ですが、新しい課題が現れ始める可能性があります。

ベクトルタイルのサイズ最適化は今後も継続的に取り組む必要がある課題です。現在のタイルは特に大きくなっています。このテスト期間中に、サイズを半分に削減する変更が加えられましたが、今後も最適化の課題は残り続けます。タイルサイズがユーザーエクスペリエンスに最も大きな影響を与えるからです。

生成されているタイルは使用可能ですが、さらなる作業が残されています。並列処理の作業が完了したことにより、テストのために大量のタイルを生成できるようになったため、Paulさんの作業は再度、タイルサイズの改善と残りの問題の修正となります。ただし、現在のタイルは 使用可能です。

使用されているツールについて

このプロジェクトで使用されている様々なツールについて紹介します。

Tilekiln は、Paul Normanさんが作成した、PostgreSQLデータベースからベクトルタイルを生成するソフトウェアです。代替ツールとしてmartin(またはt_rex)があります。Tilekilnは新しい開発段階にありますが、ベクトルタイルデータを生成するために多くの標準的なPostgreSQLの機能を使用しています。ほとんどのOSMベースの地図(osm.orgのosm-cartoを含む)は、PostgreSQLデータベースからのSQLデータベースクエリから生成されています。Tilekilnは同様のクエリからベクトルタイルを生成します。Tilekilnはまだ開発されてそれほど日が経っていません。

Themepark は、osm2pgsqlツールスイートの一部で、OSMデータをPostgresに追加し、それらの処理ステップを他のプロジェクト間で共有できるようにするものです。多くのPostgreSQLベースのOSMマップスタイル(osm-cartoなど)がosm2pgsqlを使用しています。  

osm2pgsql はOSMで15年以上の歴史があり、多くの場所で使用されています。Paulさんもコードに貢献していますが、主要な開発者ではありません。osm2pgsqlは最近数年で高度化し、より良くなっています。その強みの一部はデータの前処理にあり、Themeparkはこれらの前処理ステップを簡単にしようとする試みです。

Shortbread はGeofabrikが作成した「ベクトルタイルスキーマ」です。ベクトルタイル内のレイヤーやプロパティの命名方式のデータフォーマットとなっています。

This blog posts contains contributions from Adam Hoyle, Mikel Maron, Amanda McCann, Paul Norman, and Andrew Wiseman

The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

OSMF財団 2024年春季会議のハイライト

OpenStreetMap財団(OSMF)理事会は最近、対面式(F2F)の戦略会議を開催しました。そこで議論された内容について、進捗状況をご報告します。

私達は4月27日と28日にフランクフルトで会議を行いました。本会議は、私たち一部のメンバーにとっては初めての対面式会議となりました。

この会議を通じ、私たちは戦略の検討と改善を行い、より深い絆を育み、OSMコミュニティに効果的にサービスを提供できるようになりました。一堂に会することで、お互いの視点への深い理解を育み、コミュニケーション戦略を磨き、OSMFが直面する最も差し迫った課題に集中することができました。

為すべきことが目白押しの週末、私たちは幸運にも、信頼できるファシリテーターであるGunnerの指導を受けることができ、彼に議論をナビゲートし、対処すべき項目の優先順位付けを助けてもらいました。彼は私たちに効果的なコミュニケーションを促し、本当に重要なことに焦点を当て直し、多くの作業とゴールの優先順位付けを助けてくれました。彼の助言のおかげで、私達は一緒に過ごす時間を最大限に活用し、重要な問題に真っ向から取り組むことができました。また、彼のサポートにより、私たちは内部運営を刺激するだけでなく、OSMコミュニティとの効果的な関与のための確かな基盤を築くことができました。

一同に会することで、私たちは課題により効率的に対処し、革新的なソリューションを立案し、将来のイニシアチブの基盤を築くことができました。今後、理事会は行動項目の進捗状況をコミュニティに共有することにワクワクし、やる気が湧いてくるのを感じています。これらのイニシアチブの一部は短期的な成果をもたらしますが、他のものは完全に実を結ぶのに時間がかかるかもしれません。しかし、私たちは透明性と説明責任に取り組んでおり、皆さんコミュニティと一緒に成果を祝福できることを心待ちにしています。

会議での議論や行動の詳細はOSMFウェブサイト(こちら)でご覧いただけます。

F2Fで会合を持ち、絆を深められたことに大きく感謝しています。そしてこれにとどまることはありません! 今年開催される、ナイロビでの State of the Map での次の対話の機会を心待ちにしています。 このイベントは、理事メンバーだけでなく、何より大切なOSMコミュニティのメンバーとつながり、アイデアを交換し、OpenStreetMapを最高のものにするための協力作業を続ける貴重な機会を提供してくれるでしょう。


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

OpenStreetMap Foundation理事による2024年の展望

2024年は早くも駆け足で進んでいます。新しいOSMF理事会は、重点分野に熱心に取り組み、戦略計画の実施に努めています。 2023年の “伝統 “に続き、各理事から今年の取り組みについて簡単にご紹介します。

皆さまのご意見やご参加をお待ちしています。直接お問い合わせいただくか、OSMFメンバーの方は月例の理事会にご参加ください。

Arnalie

昨年は私にとって早すぎる一年でした。健康上の課題があり、理事として誇れるほどの実績を残せませんでした。しかし、成功と失敗の両面から学ぶ機会となりました!

今年は引き続き、OpenStreetMapコミュニティの拡大と多様化に尽力します。具体的には以下の取り組みを行います。

  • 地域支部の設立支援
    • 昨年は地域支部のページを改訂し、資格要件と必要書類を明確化しました。また、LCCWG(地域支部およびコミュニティワーキンググループ)が主導的役割を果たし、新規申請の審査と地域コミュニティへの働きかけを行いました。
      • 今年は、特に地域部会のない地域で1〜3の新規部会を設立できるよう努めます。新理事のDaniとともに取り組みます。
      • 地域部会の詳細と申請方法:  https://osmfoundation.org/wiki/Local_Chapters
  • OSMFメンバーの増加と多様性の確保
    • 年の前半に、ボランティアチームとコミュニティリーダーと協力してメンバー募集キャンペーンを実施
    • OSMFワーキンググループの目標、プロセス、運営などを見直し、ワーキンググループへの参加を促す基盤を整備
    • アクティブコントリビュータメンバーシップの申請要件を見直し、対象者に適したものとする
    • 理事会でコミュニティプロジェクトの発表を行い、地域コミュニティへの露出を高める
    • 目的と構成の適正性を確認し、多様性とインクルージョン委員会を再活性化
  • 地域およびナショナルレベルのState of the Mapの支援
  • 様々なイベント・カンファレンスでOSMFを代表し、オープンコミュニティへの認知向上と現地コミュニティの声に耳を傾ける

詳細は私のOSM日記をご覧ください:  community in the map and at the table: my first year and continuing plans as OSMF board member

コミュニティについてご相談がありましたら、arnalie [at] osmfoundation [dot] orgまでお問い合わせいただくか、(https://www.openstreetmap.org/user/arnalielsewhere)からメッセージをお送りください。

Craig

理事就任当初は、OSMFの内部事情を全く知らず、外部から見えていた問題点の改善に注力していました。しかし今では事務局長と財務委員会の委員長を務め、財団の運営に影響する内部問題の解決に重点を置くようになりました。現在は、システムの改善に尽力し、OSMFが今後10年間でどのように発展していくべきかについて、明確な展望を示すよう努力しています。財団を大きくすることよりも、現在の業務を効率的に行い、財団の改善が広く認知されるよう心がけています。

Dani

OpenStreetMap財団の理事会のメンバーとしてこの旅に参加できることを、光栄に思うとともに感謝の念に堪えません。このダイナミックで影響力のあるコミュニティに貢献できる機会は、私にとって畏れ多いものでありながらも、胸が高鳴る思いです。この役割に就くにあたり、私にはまだ学ばなければならないことが多くありますが、コミュニティメンバーの皆さまから豊富な知識と経験を得られることを心待ちにしています。今年の主な目標は、コミュニティ内のさらなる団結を図り、我々のプログラムを継続的に実施できるよう資金調達を強化し、OpenStreetMapコミュニティの全メンバーに対する献身的な連絡係を務めることです。 この目標に向けて、私は謙虚さと決意を持って取り組む所存です。協力とインクルーシブな姿勢こそが私たちの成功の鍵であると理解しているからです。このエネルギッシュなコミュニティに身を投じ、有意義な絆を結び、オープンマッピングによる人々の力強い活動を支援するという私たちの共通のビジョンに向けて、皆さまと共に邁進していくことを心より楽しみにしています。

Guillaume

2024年はOSMFにとって転機の年となります。理事長として、これから控えている大きな変更が円滑に進むよう尽力します。

最も重要な変更点は、ベクトルタイルの導入です。プロジェクトの進捗状況に合わせて、年間を通して毎月ブログで報告していく予定です。  すでに最初の記事は公開 されており、 Paulさんのデモも体験できます。

EU への移転も 興味深い変化となるでしょう。Brexitの影響で英国での活動が困難になったため、移転作業は多大な労力を要しますが、避けられません。ルクセンブルクの当局者との協議は有望でしたが、ベルギーも検討しています。ビジネス環境の良さ、コミュニティの存在、OpenStreetMapの利用状況、財政的・非財政的インセンティブなどを総合的に勘案します。

今年は、 新しい予算システムの下で初めての運営となります。この新システムにより、すべての支出を予算に容易に関連付けられるようになりました。つまり、寄付金がどのように使われているかを明確に示せるようになり、単なる数字やスプレッドシートを超えて、信頼と説明責任を果たせるようになります。この仕組みは、私が財務担当理事を務めていた頃から準備を重ねてきたものです。これにより、より効果的な資金調達が可能になるでしょう。

実際、資金調達は私たちが目標達成のために取り組まなければならない重要な分野です。最大級のOSMデータ利用者の中には、まったく寄付をしていない企業もあります。これまでは主に大手テクノロジー企業から寄付を受けてきましたが(感謝します!)、今後は政府機関、人道支援NGO、公共交通機関など、OSMのエコシステムに携わるその他の分野からの寄付を増やし、収入源の市場循環への依存度を下げる必要があります。

また、帰属表示(Attribution)も重要な課題です。これは単なる対面を保つためではなく、地図の改善につながる好循環を生み出すためです。  著作権ページ はウェブサイトで最もアクセス数の多いページですが、改修が求められています。単なる法的要件に留まらず、新規の寄付者や投稿者を呼び込むツールに変身させる必要があります。

昨年、イスラエルとウクライナでの大規模な荒らし行為が発生しました。当面の対処はできましたが、根本的な対策が必要です。投稿データがAPIに流れ込む前に適切に審査できれば、データの質が向上し、脆弱性を解消できます。迷惑メールフィルタのように、DWGがルールを設定し、自動審査エンジンを構築するのが理想的です。もちろん大規模なエンジニアリングプロジェクトとなり、慎重な計画が求められます。

私たちの長年の取り組みの1つに、運用の信頼性向上があります。少しずつ様々な改善を重ねることで、単一の障害によるリスクを低減することができます。  興味があれば、未解決のチケット の解決にご協力ください。

過去数年、私はOSMFに積極的な人材採用を提案してきました。十分な資金があれば、12人のスタッフを雇うことができます。運営やプロジェクトの管理は、ボランティアだけでは手に余る作業量です。OSMFの専任理事の採用を目指し、このようなアイデアを具体化したいと考えています。

これらの目標を阻んでいるのは、ビジョンや才能の欠如ではなく、人手と時間の不足です。実現に向けて力を貸していただける方は、ぜひご寄付あるいはワーキンググループへのご参加をご検討ください。

Mateusz

OSMF理事に就任して1年が経ち、これまでに合計390時間をOSMF関連の業務に費やしてきました。最近では予算策定の議論に時間を費やしましたが、それ以前にはOpenStreetMapの帰属表示の徹底、次回のState of the Map Europeの準備、ワーキンググループとの連携、戦略計画へのコミュニティフィードバックの反映、コミュニティ全体、作業部会、会員との様々なコミュニケーション、多くの討論と会議にも携わってきました。

現在は、今年度の予算プロセスを振り返り、来年度にどのように改善すべきかを検討中です。
また、ライセンス上求められているOpenStreetMapの帰属表示を促進する取り組みを続けていきます。
さらに、OSMFの資金がどのように使われているか、そしてより多くの資金を得られた場合にどのように使われるかを明確にし、コミュニティにわかりやすく伝えるとともに、潜在的な寄付者に対しても適切な資金の使途を示し、寄付へとつなげていきたいと考えています。

最後になりましたが、すべてのマッパー、ワーキンググループやその他の形でお手伝いいただいている皆さま、寄付をしてくださった皆さま、OpenStreetMapのデータ編集や利用を容易にしてくれるさまざまなソフトウェアをリリースしてくれた皆さま、そしてOpenStreetMapデータを興味深く有益な形で活用してくれる皆さまに、心よりお礼を申し上げます。

Roland

過去数年、財団のボランティアは、安定したプラットフォームの維持と並行して、長年の宿題となっていたソフトウェア開発をこなすことが求められてきました。  osm.org でのベクトルタイルがその一例で、もはや夢物語ではなく、現在進行中の作業になっています。

理事会の役割は、これらの目標を達成するための資金調達にあります。昨年のAllan MustardさんによるState of the Map Europe の基調講演では、これまでの取り組みと今後の課題が的確に示されました。

理事会は、慈善団体への寄付に慣れた人々にも納得いただけるように、財務を体系的に整備する予定です。そうすれば、財団の財務は過去に比べてはるかに透明性の高いものとなります。NPO財務の専門家であるHarrisonさんの力をGuillaumeさんが借りられたことを、私は本当に喜ばしく思っています。理事会は予算の策定と予測を行い、作業部会と緊密に連携を取り続けることで、財政の健全性を確保するとともに、作業部会の最大限の貢献を果たせる環境を整備します。

Sarah

OSMFの理事会では年明けから予算と支出について集中的な議論が行われています。戦略計画を推進するために必要なすべての活動に対する資金調達は、2024年も重要な課題になるでしょう。しかし、それ以外にも、財務管理のルール策定、プロジェクト管理体制の整備、請負業者との作業方法の確立など、整備すべきことがあります。昨年から財団のEU移転に向けた実務的な作業を開始しており、今年も継続して取り組む予定です。最後に、OpenStreetMapの20周年を祝う機会として、皆さまにナイロビでのState of the Mapにぜひお越しいただきたいと思います。

最新の(そして復活登録としての)OSMF地域支部として、ようこそOpenStreetMap Belgium

by Arnalie Vicario

 OpenStreetMap Belgiumが(再び)OpenStreetMapの 地域支部となりました。ここに祝福します!

昨年一年間は、OSM.beにとって再建の年でした。そして、地域支部の資格回復はまさに嬉しい果実となりました。地域支部という公式な地位は、外部組織と協力する際にその組織の真剣さとプロフェッショナリズムの証左となり、また、OSM.beメンバーにはOSM Foundationの政策立案におけるリーダーシップの機会を提供します。

このブログ投稿の声明として、OpenStreetMap Belgiumの理事は次のように述べています。

2023年は我々にとって、独立した組織として再出発するという困難な年でした。しかしそれがもたらした良い点として、私達は今やはるかに複雑さを排した組織になりました。さらに、我々の定款は今や法的効力を持ち、OSMスタイルのリーダーシップにより適応した規則を設定できるようになりました。

OSM.beの2024年の目標には、重要なマッピングタスクの促進とメンバープロジェクトの支援が含まれます。彼らはまた、カメラ購入助成プロジェクトを継続し、Mapillaryと協力してヨーロッパ全土にさらに多くの360度カメラを配布し続けます。 そしてもうひとつ、ワクワクするプロジェクトとして、ベルギーのためにPanoramaxインスタンスの構築があります。このプロジェクトは、政府や大学と提携し、サーバーに関する協力関係を築く段階にあります。

背景

OpenStreetMap Belgiumが初めての地域支部となったのは2018年5月24日でした。 当時、OSM BelgiumはOpen Knowledge Foundation Belgium(OKFN)の下で運営されていました。OSMFとOpenStreetMap Belgiumの間の地域支部契約は、OSM BelgiumがOKFN Belgiumを辞任した後の2023年9月に終了しました。2023年11月、OSM Belgiumは独立した組織として再び地域支部の地位を申請しています OpenStreetMap Foundation理事会は、 2024年1月25日にその申請を承認しました。

from https://openstreetmap.be/

OpenStreetMap Belgiumコミュニティに感謝します。OSMに関する素晴らしい情報を広め、そしてオープンデータ、地元知識、コミュニティの力を人々に示す活動、ほんとうにありがとうございます!!

地域支部に申請する方法

Local Chapters and Communities Working groupまで、メール local@osmfoundation.org で連絡するか、コミュニティフォーラムのスレッド Local Chapters: What To Know and How to Join に質問を投稿してください。

OSMF地域支部について詳しくはこちら:


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

2023年、OpenStreetMapをサポートするための寄付総額は、マッパー、大学、企業、非営利団体あわせて37万3000ポンドに到達

昨年一年間で、グローバルなOpenStreetMapコミュニティは、法人メンバーやパートナーの協力も合わせて、37万3000ポンドという驚異的な額の寄付を行いました。

19歳を迎えたOSMの誕生日に対する驚くべき支援の気持ちの表れとして、マッピングコミュニティは小口寄付を通じて、合計1万13000ポンド以上を寄付しました。幅広いコミュニティメンバーが行った、この熱心な支援活動では、世界中からの約3,089件の寄付が生み出され、平均36ポンドの寄付が行われました。OSMの資金調達委員会は、寄付だけでなく、supporting.openstreetmap.comへのSNSでのシェアや親切で励ましのコメントに感謝しています。誕生日に行われた資金調達キャンペーンへの好意的な反応は、その年のハイライトでした。心より御礼申し上げます。

寄付活動ではOSMの法人パートナーも重要な役割を果たし、法人メンバーシップからの寄付は20万1074ポンドに達しました。Microsoft、NextGIS、Smoca、Elasticsearchからの法人メンバーシップは、通常会費以上の寛大な寄付が寄せられ、寄付総額は合計37万3000ポンドに達しました。また、法人顧問委員会にも感謝申し上げます。彼らの助言と協力は、パートナーシップの成功に不可欠でした。ありがとうございます!

特にNextGISには感謝の意を表したいです。彼らはデータ販売からの利益の10%をOSMに寄付することを約束し、プロジェクトへのコミットメントに印象的な基準を設定しました。  

19歳を迎えたOSMの誕生日に対する驚くべき支援の気持ちの表れとして、マッピングコミュニティは小口寄付を通じて、合計1万13000ポンド以上を寄付しました。幅広いコミュニティメンバーが行った、この熱心な支援活動では、世界中からの約3,089件の寄付が生み出され、平均36ポンドの寄付が行われました。

また、ハードウェアやその他のインフラの寄付を通じて、OSMがその使命を果たす上で重要な“実働による”支援を受けています。 Fastlyにより提供いただけたファイルサービスのコンテンツデリバリーネットワークには大きく感謝しています。また、その他、TomTom、Bytemark、AWS、University College London、 AARNetAWSAcademic Computer Club、Umeå UniversityAppliwaveBytemark、Equinix Amsterdam、Equinix Dublin、 ExonetricINX-ZANetAlertsOSUOSLOVHScalewayなど、OpenStreetMapに貢献してくれている全ての方々に、改めて感謝の意を評します。

そして、supporting.openstreetmap.orgの新しいウェブサイトの提供を、大幅な割引価格で実施してくれた Kevin Bushawさんにも特に感謝したいです。

 2023年にいただいた資金は、今後、インフラの強化、SSREをはじめとする重要なサポートスタッフの支援、そしてOSMの将来の発展に向けて役立てられます。

OSMのローカルコミュニティを代表して、OSMF理事会は2023年に世界各地で開催された、ローカル開催のSotMをスポンサードしてくれた企業に感謝します。この種のサポートはローカルコミュニティにとって非常に重要です。なぜなら、OSM財団自体は、いただいた寄付金が特定地域のイベントに向かうことを企業に保証することはできないからです。(ただし、スポンサーシップ配分契約の一環としてお金が指定されている場合を除きます) 地域のイベントを直接支援する企業は、コミュニティと地図の品質に対してポジティブな違いを生み出しています。

最後に、皆様からOpenStreetMapまでいただいた寛大なお気持ちは、OSMプロジェクトだけでなく、より広範なオープンソースソフトウェアおよびデータコミュニティへの気持ちでもあります。あなたの寄付の影響は財政的な面だけでなく、クリエイティビティ、問題解決、コミュニティ構築の基盤となる世界へのコミットメントとなります。

OpenStreetMapへのサポート、ありがとうございます!


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and  donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer  Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

2024年: OpenStreetMapベクトルマップの年

本年、OpenStreetMapは、 openstreetmap.org に対してベクトルタイルを導入することにより大きな飛躍を遂げます。これは、その進捗状況を共有する第一報であり、今後も引き続きブログでの報告を行う予定です。

ベクトルタイルプロジェクトを主導にあたって、OpenStreetMap Foundationは地図調製とオープンデータの分野で著名なPaul Normanさんを採用しました。Paulさんは、2010年にxkcdフォーラムでの偶然の出会いからOpenStreetMapの旅を始め、2013年にはOpenStreetMap Cartoでの仕事でコミュニティでの役割が本格化しました。OSM Foundationへのボランティア参加歴はプロジェクトへの彼のコミットメントを占めており、複数のワーキンググループへの貢献やOSMF理事の在任などが挙げられます。職業上では、MapQuest、CartoDB、Wikimedia Foundation、Amazonで様々な影響力のあるポジションを務めており、数十億人が彼の仕事の成果を目にしています。  Paulさんの詳細な情報は彼のブログ に詳細があります。 また、ベクトルタイルに関する技術的な詳細については、Mastodon または Twitterのフォローをお願いします。

ベクトルタイルは、地図データが処理および表示される方法における重要な進化のひとつです。 . 伝統的なラスタタイルは静的な画像 であり、ピクセルによって表現されますが、ベクトルタイルはマッピングの世界における “SVG” のような技術です。これにより、地理データが動的なスタイリングとインタラクティブ性を可能にする形式で保存され、データを変更することなく地図表示の視覚的な外観を適応させることができます。これは、他の地図で見たことのあるものと同じようなもの、と思われるかもしれません。はい、まさにそれです!  ベクトルタイルは、openstreetmap.orgとは違って頻繁に更新されることがない対話的なマップで業界標準の技術であり、必要に応じてデータベース全体を単純に再計算できる状態となります。

ただし、 openstreetmap.org に表示される地図は、その他の地図とは全く異なっています! OpenStreetMapの地図は、常に、編集した1分後には更新されます。これはマッパーへのフィードバックループの重要な部分であり、このブログを投稿している私が最初に引き込まれた理由です。なぜ私たちが、独自のベクトルタイルソフトウェアスタックに投資しなければならないのか、その理由がまさにこれなのです。

直近の未来では、ユーザーにとって、 openstreetmap.orgにおける新しくモダンな外観の地図スタイルとシームレスなズームを意味します。より先の未来を見据えると、このベクトルタイルプロジェクトが成立することによってボランティアやタイル利用者が利便に感じる最も素晴らしい部分は無数のアイデア、例えば3Dマップ、効率的なデータのミキシングとマッチング、他のデータセットとの統合、テーマ別のスタイル、多言語マップ、行政区画の異なるビュー、Point of Interestのインタラクティブな表示、視覚障害のユーザー向けのよりアクセスしやすい地図表示など、まだ誰も考えつかないであろう多くのアイデアであります。このベクトルタイル技術は、審美眼的な進化だけでなく、機能面でも大きな飛躍であり、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させます。

2021年の コミュニティ調査 (15ページ参照)では、財団がベクトルタイルに対して何をすべきか、明確な意見がありませんでした。ただし、アプローチについて、ボランティア主導の開発を支持する人もいれば、専門家の参加を支持する人など、いくつかの志向を読み取ることができました。その後、エコシステムは進化し、既存のソフトウェアの上に仕組みを構築することが容易になりました。私たちはこのプロジェクトを、2つの人気のある回答の間でバランスがとれた形態であると見なしています。  コアソフトウェアへの投資も、私たちの数年にわたる戦略計画の一環です。

OpenStreetMap Foundationは、このプロジェクトを完了するために寄付に依存しています。特に私たちのベクトルタイルの年をサポートしたい場合は、  寄付メッセージ に”vector tiles”と記入できます。 どんな形の貢献も、大きな貢献も小さな貢献も、OpenStreetMapがすべての人に対してオープンでアクセス可能でダイナミックであることを確実にしようとする私たちの試みを、直接的に支援するものとなります。あなたの支援はただの寄付ではなく、オープンソースマッピングの未来への投資となります。

私たちはこのワクワクする旅をはじめたばかりです。これからのブログ投稿では、スキーマとスタイルの側面にさらに深く踏み込んでいきます。お楽しみに!

OSM、国連関連機関の”Digital Public Good”に選出

by Craig Allan

OpenStreetMapは、国連が推薦するマルチステークホルダー・イニシアチブであるDigital Public Goods Alliance (DPGA)に申請し、このたび”Digital Public Good”として登録されました。 この登録は、OpenStreetMapがグローバルな経済発展において積極的な役割を果たしていることを認識してもらうための重要なステップです。

DPGAに正式に登録することで、OSMプロジェクトはさらなる正当性を獲得し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の推進と結びついた国際的な知名度を高めることができました。

Public Goodとは?

“public good”という言葉は、無料で、無尽蔵にあり、競争のないものを表すために経済学者によって考案されました。太陽の光はその良い例で、コストがかからず、枯渇することがなく、隣人がたくさん使っても自分の供給が減ることはありません。

太陽の光と同じように、OSMデータもまた、無料で、好きなだけ使うことができ、隣人がたくさん使ったとしても、自分の供給がなくなることはありません。注意するべきは、Public Goodであるのはデータであって、サーバーではないことです。私たちのサーバー・コンピューターは無料ではなく、限られた資源なのです。

世界をより良い場所に

2019年、グローバルな開発を支援するデジタル協力について検討するため、国連において専門家パネルが招集されました。彼らの作成した報告書 “デジタル相互依存の時代/The Age of Digital Interdependence”では、主に5つの提言が示されています。5つとも素晴らしい提案ですが、提案5は国連がグローバルなデジタル協力を促進すべきだとしており、OSMにとって特に関連性が高いものとなっています。正確な文章は以下の通りです:

“Digital Public Goodは、特に中低所得国にとって、持続可能な開発目標を達成するためにデジタル技術とデータの可能性を最大限に引き出すために不可欠である”

これはつまり、国連は、国連の合意した開発目標を中低所得国が前進させ、達成できるようにするためのツールとして、自由・オープン・ソフトウェアとデータの利用を推進している、ということです。この利用促進提案が特に重要なのは、自由なデータは自由なソフトウェアと相性がよく、この2つのツールは最貧国政府でさえも広く利用することができるためです。さらに、自由なデータやアプリを利用することで、政府は裕福な国の企業にライセンス料を支払うために乏しい資源を流用することなく、開発を進めることが可能となります。

そして国連は、提案5の実施機関としてDigital Publilc Good Allianceを設立し、開発のためのDigital Publilc Goodの開発と利用を促進することを使命としました。

DPGAは、承認されたオープン・システム、オープン・アプリケーション、オープン・データの登録簿を作成し、グローバルな開発の進展のために誰もがアクセスできるようにしました。

なぜOSMにとってこれが重要なのか?

OSMは世界的な開発において大きな力を持っていますが、認識されていない分野もあります。OSMデータは、多くの人道的活動を支え、様々な専門分野の学術研究をサポートし、多くのソフトウェア開発、特に地理とナビゲーションのアプリケーションの構成要素となっています。OSMデータはまた、国連機関、国際NGO、世界中のあらゆるレベルの政府によってすでに広く利用されています。

DPGAに正式に登録されたことで、OSM運動はさらに正当性を増し、国連の持続可能な開発目標の推進と結びついた国際的な知名度を獲得しました。もっと簡単に言えば、これは私たちのほとんどがずっと前から知っていたように、OSMはすべての人にとって世界をより良い場所にするための素晴らしいツールだと、国連も考えているのです。

今回認証が完了したことで、OSMとそのパートナーの正当性と知名度を高め、新たな機会を生み出します。重要な分野のひとつは、政府の労働環境にあります。Public GoodとしてのOSMが認証されたことは、国、地域、地方レベルの政府機関に門戸を開き、OSMの利用を促進するために利用可能である、ということです。OSMは政府が保有するデータにアクセスする機会を得ることができ、また、OSMのマッピングコミュニティを強化するための政府資金や、OSMの提供システムを強化するための様々なリソースを得ることができ、すべての人に利益をもたらすことが可能となります。

(注: OSM財団はまだ政府内でOSMの使用を奨励、促進する戦略を策定していません。これはまだアイデア段階です)

OSMとそのパートナーの知名度と正当性を高めることは、OSMへのフィランソロピー投資の事例を作ることにもつながります。

最後に、ややうがった視点で見れば、OSMはもともとSteve Coastさんによって、政府による地図作成規制への対応として作られたものである、ということが挙げられます。ただ、自由でオープンなマッピングが、多くの政府機関のマッピングの基礎となるのであれば、それは実に喜ばしいことに違いはありません。

CC-0の優位点: 簡素化されたジオデータ向けライセンスによってEUオープンデータ指令が得られる恩恵

EU諸国はCC-0ライセンシングを採用し、OpenStreetMapを含むオープンデータの利点と使いやすさを最大化すべきです。

EU指令2019/1024 – 一般にオープンデータ指令として有名 – は、まもなくEU全域の政府から新しいデータセットを開きます。例えばルクセンブルクは、既にすべてのオープンデータセットに対してCC-0ライセンスを適用することを強く推奨する正式な勧告を採択しており、これは施行されて以後、既にジオデータセットに適用されています。  

これは欧州と世界にとって素晴らしいニュースです。また、OpenStreetMapと、OpenStreetMapを利用する数多くの利用者にとっても素晴らしいこととなります。しかし、それを実現させるためには、いままさにデータ公開計画を最終決定している関係者たちが、微妙だが重大な間違いを避けなければなりません。彼らは自国が採用するライセンスについて、より一般的なCC-BY 4.0ライセンスではなく、クリエイティブ・コモンズCC-0ライセンスを使ってデータをリリースすべきなのです。

なぜそうなのかを説明するには、いくつかの背景が必要です。地理データセットが公開される際には一般的に、そのデータがどのように出展明記されなければならないか、どのように変換や再配布が可能か、誰がそのデータを使用することが許されるかを明記したライセンスの下でリリースされま。。OpenStreetMapは、多くのデータソースから公開される地理データを組み合わせ、統一された世界地図を作成しています。データを組み合わせることは必ずしも容易ではありませんし、ライセンスの組み合わせはさらに難しいものとなっています。

例を挙げてみましょう。ある政府機関が地理データを公開したとして、その政府機関がデータを更新して新しい版を公開した際には、そのデータを利用して作成された地図も必ず更新しなければならない、という条件を付けたとします。単独で見れば、これは合理的に聞こえるでしょう。政府機関の職員は自分たちが公表する情報を熱心に更新しており、職員の立場からすれば、そのデータを利用する人々に対しても、職員と同様に古い情報を広めないよう求めるのは理にかなっています。しかし、そのデータが、同じような利用条件を持つ何十もの他のデータセットと組み合わされ、再配布されたらどうなるでしょうか? あるいは組み合わせが数百だとしたら? 世界の変化を反映するために部分的に編集されたら?  

もしかしたら世界は、この特殊な問題に対する解決策がある、と思われるかもしれません。ですが、断じて宣言できます、あらゆるライセンスに付随する問題に対する解決策を作り出すことは不可能です。ライセンスが衝突する可能性があるということは、私達のプロジェクトOpenStreetMapに対して投入するデータについて非常に注意深くなければならないということを意味します。投入されるデータセットのライセンスとプロジェクト自身のライセンスとの互換性は必ずチェックされ、新しいデータソースを取り込むことによって、世界中で様々な利用法で使われているOpenStreetMapのデータの活用を妨げないようにしなくてはなりません。

そしてその利用価値は計り知れなません。オープンデータ指令の付属書Iにおいて、この取り組みが対象とする価値の高いデータセットのテーマとして「地理空間」を第一に挙げているのは、きっと偶然ではないでしょう。地図はすべての人々、企業、組織にとって有用なものです。そしてOpenStreetMapは、地図データが世界中の人々に届くための重要な一部となっています。私たちのプロジェクトは、極めて人気の高い地図プラットフォームの多くに利用され、数十億の利用者にリーチしています。 さらに重要なことは、OpenStreetMapは誰でも無料で使えるということです。オープンデータ指令の目標である “公共部門のデータを再利用し、すべての経済部門にわたるイノベーションの原材料とする” ための理想的なパートナーとして私達のプロジェクトが存在していることは、無料で利用できることも大きな理由のひとつであると、私たちは考えています。

しかしそれを実現するためには、データはOpenStreetMapが使用できるライセンスでリリースされなければなりません。この指令の施行規則では、この責務を担う政府職員・自治体職員のためのライセンスガイダンスが提供されています:

指令(EU)2019/1024は、公共部門の情報を再利用するにあたってオンラインで利用可能な標準的な公共ライセンスの使用を促進することを目的とする。推奨される標準的なライセンス、データセット、文書の再利用のための課金に関する欧州委員会のガイドラインでは、推奨される標準的な公的ライセンスの例として、クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスを挙げている。CCライセンスは非営利団体によって開発され、世界中の公共部門の情報、研究成果、文化的領域の資料のための主要なライセンスソリューションとなっている。したがって、この実施細則では、CCライセンス一式の最新版、すなわちCC 4.0を参照する必要がある。CCライセンス一式と同等のライセンスは、データの再利用の可能性を制限しない限り、データ保有者が提供する更新情報を含める義務や、データの最終更新日を明記する義務など、再利用者に対する追加的な取り決めを含むことが可能である。

高価値のデータセットは、クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ドメイン・デディケーション(CC0)、あるいはクリエイティブ・コモンズ・BY 4.0ライセンス、あるいはそれと同等か、より制限の緩いオープン・ライセンスの条件下で再利用できるようにしなければならない。ライセンサーは、ライセンサーのクレジットを示す帰属の要件を追加的に要求することができる。

cf 指令(EU)2019/1024 Impact Assessment

残念ながら、OpenStreetMapがCC-BY 4.0でライセンスされたデータを使用するためには、いくつかの免責事項を追加で取得する必要があります。その理由は微妙ですが重要です。詳細はこちらで解説されています。 指令ガイダンスの作成者はこのことに気づいていなかったかもしれません。  私達は、多くの政府・自治体関係者がCC-BYに精通していることを知っています。しかし、上記のリンクで説明されているように、CC-BYは帰属の要求以上の制限を伴います。施行規則第2条の趣旨は明確です。“社会経済的なポテンシャルが最も高い公共データは、最小限の法的・技術的制限で、無料で再利用できるようにされる“ということです。その意図を実行する責任を負う関係者は、CC-BYではなくCC-0を選択すべきです。

私達は、これが常に可能とは限らないことを理解しています。そのような場合、データ公開に係る職員は、第4条で認められているように、より制限の少ない条件でCC-BY 4.0データをライセンスすることを検討すべきでしょう。私達OSMFのライセンス・ワーキンググループは、CC-BY 4.0をより制限の少ないものにし、その下で公開されたデータをOpenStreetMapで明確に使用できるようにするために、職員がライセンスに付記することができる短い文言を提供しています:

Section 2(a)(5)(B) of the CC BY 4.0 license is void. Attribution to a central list of sources via URL is sufficient to provide attribution in a "reasonable manner" in accordance with Section 3(a)(1) of the CC BY 4.0 license.

OpenStreetMapは、世界で最も成功したオープンデータプロジェクトのひとつです。これから行われるEUオープンデータ指令の最終決定の際に適切な決定がなされれば、オープンデータ指令もまた、オープンデータプロジェクトとして大きく成功する可能性があります。

マイクロソフト、OpenStreetMap支援のため15万ドルの寄付を約束

OpenStreetMap Foundation Boardは、OpenStreetMapプロジェクトとコミュニティ向けの寄付として、Microsoftから15万ドルを受け付けたことを発表します。この大きな支援は、OSMの運営とインフラの改善に直接利用されるほか、ローカル、リージョナル、グローバルなState of the MapイベントなどのOSMコミュニティの活動資金にも使われます。

マイクロソフトでは、金銭的な貢献だけでなく、オープンな地図データを全面的に受け入れ、奨励し、ボランティア活動や開発努力を通じてコミュニティに積極的に参加することで、OpenStreetMapを支援することを約束します。

Marko Panić, Principal Lead Product Manager at Microsoft

今回の寄付金は、以下のように配分されます:

重要なことは、マイクロソフト社は金銭的な寄付だけでなく、「実働面」の寄与を通じてOSMを支援する、ということです。技術的な専門知識とエンジニアリングリソースを提供し、他の企業、非営利団体、その他の団体にOSMの重要性を認識させる手助けを行い、OSM諮問委員会で重要なコンサルティングの役割を果たしています。

OSM諮問委員会は、企業と地域社会を結びつけるOSMコミュニティ内のユニークなグループです。  各地のガイドラインを熟知し、開発プロジェクトを先導し、教育やイベントを通じてOSMマッパーを結びつける地域コミュニティと、OSMを利用・貢献する企業との間に、積極的なつながりを構築しています。

— Mikel Maron, OSMF理事

マイクロソフトは、その存在、寄付、その他の支援を通じて、iDエディタのメンテナンスに多大な支援を提供し、OSMのサインアップフローの改善に取り組み、BingのMap builderを通じてOSMをより多くのユーザーに紹介してきました。 OSMF理事会はOpenStreetMapの成功への多くの貢献に感謝しています。

OSMFは、OSMの技術開発、運営、コミュニティへの財政的支援だけでなく、実働面での支援も歓迎します: 


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and a very small core staff are the primary support for the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.