Author Archives: Courtney Williamson

データモデルに関する意見募集

データモデル研究

OpenStreetMap Foundationのエンジニアリングワーキンググループ(EWG)は2022年の初頭、既存のデータモデルをどのように改善するかについての調査を発注しました。 Jochen Topf氏は、OpenStreetMapのデータモデルをより計算効率がよく、よりアクセスしやすくする方法に関する提案を含む、この研究の結果を提供しました。

研究結果では、2つの重要な提案が成されています。

  • ポリゴンを表現するためのareaデータ型の導入
  • タグ無しノードの削除

コミュニティでの協議

このプロセスの次の段階を決定するにあたって、私達は開発者のコミュニティとより多くの議論を行いたいと考えています。なぜなら、提案された変更は、直接または間接的にデータモデルに依存しているOpenStreetMapソフトウェアに影響を与えるからです。

潜在的な利点

エリアの複雑さの低減

OSMにはまだAreaデータ型が存在しないと聞いて、驚くマッパーもいるかもしれません。iDエディタにはポイント、ライン、エリアを描くためのボタンが用意されています。マッピングをすると、期待通りの形状がマップに表示されます。OSM wikiでは、それぞれのタグが通常、エリアに使用されるかどうかを文書化していますし、Overpass Turboでもクエリでエリアを指定することができます。

しかしこれらのエリアは、裏側ではウェイやリレーションとして表現されています。OSMデータを扱うそれぞれのツールは、特定のウェイがラインを表すのか、エリアを表すのか、独自のルールを使って推測しています。エリアをOSMデータモデルの適切な一部にすることで、アプリケーション間で一貫した解釈が可能になり、壊れたエリアデータがアップロードされるのを防ぐAPIが実現可能になり、最終的には非常に大きなエリアの部分ダウンロードのサポートにつながるかもしれません。

OSMデータの処理容易化

現在、ウェイは複数のノードへのリファレンスで構成されており、これらリファレンスの状態を確認することによって、ウェイ同士がどのように接続されているかを決定しています。これらノードへのリファレンスによる座標解決は、OpenStreetMapのツールチェーンを用いた場合、高性能なハードウェアであっても数時間から数日かかるため、コストの高い処理となっています。

将来的に、私達はウェイを緯度経度の単純なリストとしてモデル化するかもしれません – ただしこれは、最終的に行われる実装によります。これは大きなパフォーマンス上の利点をもたらしますが、タグなしノードの削減は重要な変更となります。

一見しただけでは、性能の向上があまり見込めないように思えるかもしれません。しかし、私達のデータを容易に扱えるようにすることは、OpenStreetMapが世界全体にとっていかに有用であるかに直接影響します。Jochen氏の観察によれば、「この目的は、OSMデータを使うにあたって数十億ドル規模の企業だけでなく、ノートブックで世界地図を作りたい学生や、寄付された中古のコンピュータを持つ活動家も利用できる素晴らしいリソースとしてあり続けることができるようにすることにあります」

よりよい履歴情報の提供

ウェブサイトの履歴タブで実際に表示できるものがいかに少ないかに気がついた時、多くのマッパーは残念さを感じます。OSMChaやAchaviのような多くのツールがありますが、それらを使うにはある程度の熟練が必要です。

これはなぜなのか、と問われるかもしれませんが、答えは非常に技術的なものです。ウェイを表現するバージョンでは、多くの場合、座標情報が管理されていません。変更内容のトラッキングが比較的初心者にとっつきにくいツールで、専門的な分野にとどまっているのはこのためです。データモデルを変更することで、この障壁から開放され、より優れたツールの開発がきたいできるようになりますが、ウェイのバージョンと座標情報を適切に取得できるようになるまで、それは実現しえません。

分単位でのベクトルタイル生成

現在、ベクトルタイル生成には多くの成熟したツールが存在していますが、まだいくつかの課題が残っています。

  • ひとつは、openstreetmap.orgのためのベクトルタイルにどの機能を入れるか。
  • もうひとつは、許容できるレベルのベクトルタイルのパフォーマンスと、分単位での更新をどのように調和させるか。

もしタイルの生成を本当に並列化できるだけではなく、変更されたウェイがどのタイルに含まれるかを見つけ出すという、コストの高い最初のステップを省略することができれば、この作業は一段と簡単になります。

また、その処理のために必要となるコンピュータパワーをカプセル化する方法を開発できる人を見つけられるかもしれません。ただしその場合でも、これはそのパートナーへ依存度としては極めて望ましくありません。

つまり、データモデルの変更を行わなかった場合、openstreetmap.orgで分単位の変更を行うベクタータイルの実現は、可能ではありますが非常にコストが高く、特別なハードウェアが必要となります。

未来に声を上げよう

今後、何かしらの変化は避けることができません。OSMデータベースの成長速度はハードウェアの高速化スピードを上回っていますし、IDベースのデータモデルではすべての処理を並列化して高速化することが不可能です。変化に対するこれまでの対応は簡単でしたが、これからはさらなる工夫が必要です。将来的には、分単位での変更に対応するための特別なハードウェアが必要になるかもしれません。

しかしながら、この課題に対しては様々な対応方法が考えられます。今こそ、開発者コミュニティで意見を出し合うチャンスです。


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

OSM.orgへのコミュニティタブ追加のご紹介

OSMコミュニティを発見し、つながるための新しい方法が増えました。

OSM.org の右上に “コミュニティ” タブが追加され、正式な地域支部とその他OSMコミュニティの一覧を表示する単一ページにリンクされています。 多くのOSMコミュニティが存在しており、OSMが急速に成長していることを考えると、それぞれのコミュニティにコンタクトをとるための目立つ方法を追加するにはよい時期であると言えるでしょう。

LCCWGメンバーのJoost Schouppeさんによれば、この新しいタブは、「おそらくosm.orgで地図メモ機能が追加されて以来、最も目につく変更」とのことです。

新しい “コミュニティ” ページに移動すると、地域支部の一覧データが OSM Community Index (OCI) を介して動的に配信されていることがわかります。 実のところ、このプロジェクトで最も難しかったのは、単に地域支部の一覧を静的コンテンツとして追加するのではなく、OCIデータをページに統合する方法を見出すことでした。「OCIを介することで、新しい支部が追加されたときに自動的に更新されますし、すでにサポートしている46の言語から支部名の翻訳をすべて再利用できるのです」と、ウェブサイトの管理者であるAndy Allanさんは述べています。   

今のところ、あまり公式化されていない他のコミュニティをすべて動的に把握する方法はありませんが、「その他のグループ」のセクションを追加することで、その存在を強調し、より多くの情報への道筋を示すことができるでしょう。  

LCCWGのメンバーで、このプロジェクトにも参加したAdam Hoyleさんは、「これはまだスタート地点に過ぎません」と言います。  「理想は、人々やコミュニティがお互いを見つけるための、より優れた集中型ページに成長させることです」と述べています。 

地域支部の一覧を表示することは、基礎となる様々な技術的課題が解決された今、実現可能な事柄の表面を削ったに過ぎません。 例えば、新しいマッパーが自分の活動地域をプロフィールに設定すると、地域フォーラムやマッピンググループの一覧が表示され、自分の活動場所に合わせたコミュニケーションチャネルがすぐに個人ダッシュボードに表示されるようになります。 

“コミュニティ”のページをさらに改善するためには、ボランティアの協力が不可欠です。 「このコミュニティ情報はすでにOCIの中にあるものです。なので、あとはこの統合活動を拡充してくれる人が必要です」とAllanさんは述べています。Schouppeさんは、「この課題は2020年10月からLCCWGの議題になっており、Adamさんは2021年1月に作業を開始しました。私たちは皆ボランティアなので、osm.orgのウェブサイトを進化させるには多くの時間と労力が必要ですが、この作業が実現可能であることを示しています」と述べます。

→ OSM.org の開発に参加するには、メインの作業場所となる Github 、そしてぜひこの issue を御覧ください。Issueでは多くの既存の pull request が表示され、どのように貢献するかのアイデアが示されています。

→ 地域コミュニティの成長を支援するLCCWGの活動をサポートするには、LCCWGのチャンネルに参加してみてください。

 忍耐強く作業を進めてくれたAdam Hoyleさんに感謝の意を表します。  時間がかかったとはいえ、これにより、技術的な基盤が整備され、将来の作業への礎を築くことができました。さらに、OCIチームの協力によって行われたOCI側の構成変更によって、  翻訳された文章を簡単に扱えるようになっています。-Andy Allan


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