OpenStreetMapユーザに大ニュース: メインウェブサイトに、A-to-B方式 (目的地検索) の経路探索が実装されました! これはOSMプロジェクトにおける大きな一歩です。Richard Fairhurstさんをはじめ、この機能の実装に関わったすべての方々に多大なる賞賛を惜しみません。
“なんでこれが大きな一歩なの? そんな機能、何年も前からどんなウェブサイトにもついてるじゃないか” そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。これにはまず、OpenStreetMapのメインウェブサイトにおける設計思想、つまり、ワンストップで多くの機能を提供することをせず、真にオープンなデータを創造することによって、関係する人々がそのデータを使ったサービスを作り出すことを促す、としてきた方針をまず紹介しなくてはいけません。この思想があったことによって、これまで数年間、OSRM や Mapquest、Graphhopper、Cyclestreets、Komoot、cycle.travel、その他数多くの素晴らしいウェブサイトが生み出されてきた経緯があります。
しかしそうしたサービスはすべて、それぞれのウェブサイトやアプリケーションの上に実装されてきました。そのため、ユーザはそれらのサービスの力の源泉がOpenStreetMapであることに必ずしも気がつかないことがありました。最終的に実装されたこの実装方式では、 JavaScriptコードを利用して OSMのメインとなるウェブサイトからサードパーティのシステムを利用するという、たいへんすっきりとした手法を採用しています。これは単純に経路探索の機能が使いやすいというだけでなく、”初見” のかたにとっても、そうしたサービスがOSMを使っているということがわかりやすくなっています。
ですが、この実装が大きな意味を持つ、ということは単にこれだけが理由ではありません。
この機能が本当に意味を持つのは、この機能によって OpenStreetMapのデータが多様なフィードバックを得る機会を持った、ということにあります。私たちがOpenStreetMapのウェブページに “スリッピーマップ” を表示しているのは、ユーザが地図を確認し、名称の情報調査が必要な橋や、描くべき建物を見つけ出して、”編集”から対象を直接修正することができるようにすることが大きな理由のひとつです。このフィードバックのサイクルを廻すことによって、OpenStreetMapは世界の様々な地域で、その地域の最も詳細な地図をつくり上げることに貢献してきました。
しかしこのフィードバック方式は、私たちの言葉で言えば “レンダリングされるものがマップされる” という現象を生み出してきました。つまり、地図に画像として表現されない限り、修正や追加が必要なデータがあることに気が付きづらいのです。標準のレンダリングで表示されない多くの地物を描くにあたって、このフィードバック方式をとっている限り、そうした地物はユーザが修正しようという気持ちになりづらいのが実情でした。そしてこの理論は、例えば交差点における “左方向転回禁止” や、”バスのみ” 通行が許可される通行制限、実際には接続されるべき歩道と道路が接続されていないトリッキーなデータなど、地図で表現 “できない” 地物ではより顕著でした。この経路探索機能が実装されたことによって、ユーザはOSMウェブページで直接おすすめの経路を表示できるようになり、ユーザが問題点を発見し、そのまま編集できるようになったのです。最終的に得られるこの成果は、OSMデータを使った経路探索の品質を一段階押し上げるものです。これはすなわち、地理情報データを使ってすべての人々がより素晴らしい成果を得られるようになり、A点からB点へ移動するという行為をより手軽で便利に行うことができるようになる、ということでもあります。
あなたがこれから訪れる場所を、ぜひ検索してみてください!
Blog post by Dan Stowell, Translated by Satoshi IIDA (nyampire)