Author Archives: nyampire

OpenStreetMap.orgでの経路探索実装

OpenStreetMapユーザに大ニュース: メインウェブサイトに、A-to-B方式 (目的地検索) の経路探索が実装されました! これはOSMプロジェクトにおける大きな一歩です。Richard Fairhurstさんをはじめ、この機能の実装に関わったすべての方々に多大なる賞賛を惜しみません。

osm-routing “なんでこれが大きな一歩なの? そんな機能、何年も前からどんなウェブサイトにもついてるじゃないか” そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。これにはまず、OpenStreetMapのメインウェブサイトにおける設計思想、つまり、ワンストップで多くの機能を提供することをせず、真にオープンなデータを創造することによって、関係する人々がそのデータを使ったサービスを作り出すことを促す、としてきた方針をまず紹介しなくてはいけません。この思想があったことによって、これまで数年間、OSRM や Mapquest、Graphhopper、Cyclestreets、Komoot、cycle.travel、その他数多くの素晴らしいウェブサイトが生み出されてきた経緯があります。

しかしそうしたサービスはすべて、それぞれのウェブサイトやアプリケーションの上に実装されてきました。そのため、ユーザはそれらのサービスの力の源泉がOpenStreetMapであることに必ずしも気がつかないことがありました。最終的に実装されたこの実装方式では、 JavaScriptコードを利用して OSMのメインとなるウェブサイトからサードパーティのシステムを利用するという、たいへんすっきりとした手法を採用しています。これは単純に経路探索の機能が使いやすいというだけでなく、”初見” のかたにとっても、そうしたサービスがOSMを使っているということがわかりやすくなっています。

ですが、この実装が大きな意味を持つ、ということは単にこれだけが理由ではありません。

この機能が本当に意味を持つのは、この機能によって OpenStreetMapのデータが多様なフィードバックを得る機会を持った、ということにあります。私たちがOpenStreetMapのウェブページに “スリッピーマップ” を表示しているのは、ユーザが地図を確認し、名称の情報調査が必要な橋や、描くべき建物を見つけ出して、”編集”から対象を直接修正することができるようにすることが大きな理由のひとつです。このフィードバックのサイクルを廻すことによって、OpenStreetMapは世界の様々な地域で、その地域の最も詳細な地図をつくり上げることに貢献してきました。

しかしこのフィードバック方式は、私たちの言葉で言えば “レンダリングされるものがマップされる” という現象を生み出してきました。つまり、地図に画像として表現されない限り、修正や追加が必要なデータがあることに気が付きづらいのです。標準のレンダリングで表示されない多くの地物を描くにあたって、このフィードバック方式をとっている限り、そうした地物はユーザが修正しようという気持ちになりづらいのが実情でした。そしてこの理論は、例えば交差点における “左方向転回禁止” や、”バスのみ” 通行が許可される通行制限、実際には接続されるべき歩道と道路が接続されていないトリッキーなデータなど、地図で表現 “できない” 地物ではより顕著でした。この経路探索機能が実装されたことによって、ユーザはOSMウェブページで直接おすすめの経路を表示できるようになり、ユーザが問題点を発見し、そのまま編集できるようになったのです。最終的に得られるこの成果は、OSMデータを使った経路探索の品質を一段階押し上げるものです。これはすなわち、地理情報データを使ってすべての人々がより素晴らしい成果を得られるようになり、A点からB点へ移動するという行為をより手軽で便利に行うことができるようになる、ということでもあります。

あなたがこれから訪れる場所を、ぜひ検索してみてください!

Blog post by Dan Stowell, Translated by Satoshi IIDA (nyampire)

OpenStreetMap地域支部 – Welcome Iceland

OpenStreetMapコミュニティは地球上のそれぞれの地域で、それぞれのローカルグループを形成しています。今こそ、”地域支部/local chapter”の考え方を明確にすべき時です。既に支部の定義と申請手続きは整えられており、そして、私たちは最初の OpenStreetMap Foundation 公式地域支部を認定することとなりました。openstreetmap-iceland-website

OpenStreetMap á Íslandi” は、オープンで自由な地理情報データを推進する団体である  Hliðskjálfの下部組織です。OpenStreetMapの支部認定手続きを中心的に進められた Hliðskjálf の Jóhannesさん、たいへんおつかれさまでした。

私たちOpenStreetMapにはアイスランドの他にも、少人数のマッパー・グループから、国単位の大きなグループまで、世界各地で様々な規模と種類のローカルグループが形成されています。それぞれの団体はその地域の言葉で OpenStreetMapが存続し続けることを支援し、コミュニティの皆で、その地域の文化と習慣を見つめなおす活動を続けています。地域支部の構想は、グループの名称を中心に長い間議論の対象となっていました。私たちの構想は Wikimedia財団を参考にされています。

そうした長い議論を経て、ようやく私たちは、地域で活動する OpenStreetMapの組織と OpenStreetMap Foundationをつなぐ、地域支部という構想を公式にご案内することができるようになりました。これはOSMFの歩みにおいて大きな一歩となります。具体的な支部の定義、必要事項、手続きは Local Chapterページに解説が記載されています。

4つの新規タイルサーバ

タイル画像の読み込みが早くなった、そんな気がしませんか? openstreetmap.org の地図表示はこれまでよりさらに改善されているはずです。なぜならば、3つの新しいサーバが、この2週間のうちにデータの配信を開始しており、さらに、年明けの早いうちにもうひとつのサーバが同様に配信を開始する予定だからです。

  • タイルサーバ、名称は saphiraJump Networksより提供、住区は英国 ロンドン
  • タイルサーバ、名称は viserionCARNetより提供、住区はクロアチア Pula
  • タイルサーバ、名称は stormfly-02OSUOSLより提供、住区は米国 Corvallis
  • タイルサーバ、名称は longmaNCHCより提供、住区は臺灣 新竹市

osm-cdn-2015-01

地図タイルの配信は、GeoDNSによって割り出された利用者の位置によって行われます。現在、OpenStreetMapのタイルコンテンツ配信ネットワーク (CDN) はEDNSクライアントサブネットをサポートするようになり、利用者から最も現在地に近いタイルキャッシュが選択されるよう、精度が向上しています。

OpenStreetMapの利用はすべてのひとびとに開放されています。しかし、そこにはちょっとした調整が必要です。もしあなたが運営してるサイトが高負荷の通信を発生させているとしたら、switch2osm.org を参考にデータの扱い方を調査し、他の利用者のタイル画像利用のを妨げにならないようにしてくださいますようお願いします。

寛大な寄付を行ってくれる団体、そして地域で活動するコミュニティに感謝します。OpenStreetMapのタイル配信インフラはこれからも進化し続けます。

OpenStreetMap Foundationはこれからも追加のタイルサーバを募集しています。もしタイルサーバの提供やホスティングに関心があるようでしたら、wikiの Tile CDN要件ページをご一読ください。また、OpenStreetMapを支えるその他の方法として、OpenStreetMap Foundationは寄付も受け付けております。

OpenStreetMap Foundationは英国に本拠を置く非営利団体であり、OpenStreetMapプロジェクトの支援を行っています。私たちは、自由な地理空間データの成長と開発と配信、そして誰もが利用・共有可能な地理空間データをすべてのひとに提供することを使命としています。OpenStreetMap Foundationは、OpenStreetMapプロジェクトのインフラを所有し、管理しています。

Mapazonia

過日、私たちはラテンアメリカ地域のOpenStreetMapコミュニティを結成し、そこで、ラテンアメリカ大陸の複数の地域をつなぐ共同マッピングプロジェクトを組織することを決定しました。

私たちの最初のプロジェクトは Mapazonia です。

mapazoniaアマゾンの熱帯雨林は9つの国家にまたがった流域を形成しており、数多くの環境調査機関や政府が、この地域で作業を行うにあたってより高品質の地理空間デー タを必要としています。さらに自然災害や、その他の人道支援の観点による対応が必要となる際にも、高品質なデータはかならず必要となります。そして、ブラジル北部の OSM編集者はあまり多いわけではなく、トレースされていない道路や、全くマッピングされていない町がいくつも存在しています。

アマゾン川流域は550万平方キロメートルもの流域を持つ、非常に広大な地域です。そのため、私達はいくつかの地域を優先エリアとしてTasking Managerに登録しました。既に、ブラジルでひとつ、そしてボリビアでもうひとつの活動が行われています。現在の主な目的は、河川のトレース、そして、描かれていない道路を描き出すことです。

近々私たちは、他の国や地域でも活動を始める予定です。もしアマゾン川流域の他の地域でマッピングに関心のあるかたがいたら、ぜひ活動に参加してください。編集を行ったら、変更セットのコメントに #mapazonia と入れてくれれば、私たちはあなたの編集をこちらの地図上で見つけ出すことができます。

私たちの活動のサイトはこちら: http://mapazonia.org で、Twitterアカウントは @mapazonia となっています。

アマゾンのマッピング、楽しみましょう!

Happy Christmas from OpenStreetMap

 

OpenStreetMappy Christmas Card すべての参加者に、OpenStreetMapからのハッピークリスマス。

このひとことはもしかしたら、ちょっと意味が違っているかもしれません。こうした投稿は企業のウェブサイトでよく見る内容ですが、このOpenStreetMapはプロジェクトです。そして、OpenStreetMapは共同作業であり、地図でもあり、データベースでもあり、コミュニティでもあります。ですが、企業ではありません。私がOpenStreetMapのことを例えるときによく使う言葉は “インターネットに煌めく星々の集合体/nebulous internet collective” です。OpenStreetMapは、私たち参加者すべてから成り立っています。もし私たちがOpenStreetMapとして “ハッピークリスマス” と声をかけるとしたら、それは私たちが、私たちひとりひとり自身に “ハッピークリスマス” を願うことだ、と考えると、このセンテンスはもうすこし意味が通ってくるかもしれません。私は、すべてのOpenStreetMapperが、お互いに幸せなクリスマスを願っていると信じています。

私たちはこのプロジェクトを通じて、オープンなライセンスの世界地図を創りだそうとしています。たとえあなたが他のマッパーに会ったことがあってもなくても、コミュニティで展開される議論に参加していてもいなくても、あなたはあなた自身の手で、世界を構成するひとつのピースを、世界中のみんなで組み上げるこのステキなパズルにはめ込んでいるのです。OpenStreetMapマッパーが隣にいることを思い浮かべて、ハッピークリスマスを伝えましょう。(もしかしたら、ハッピークリスマスじゃなくて、ハッピーホリデーだったり、謹賀新年だったり、時候の挨拶だったり、冬祭り万歳だったり、、、かも?)

そしてもちろん、OpenStreetMapを利用しているすべてのひとたちにもハッピークリスマスを。ウェブサイトに地図を埋め込んでいるひと、モバイルアプリに地図データをダウンロードしているひと、紙に地図を印刷しているひと、すべてのひとびとに。OpenStreetMapがみなさまにとって楽しいものでありますように。そして、私たちへクリスマスプレゼントのおかえしをするには、簡単な方法があります。あなたもぜひ、プロジェクトにご参加ください!

JOSM, Java OpenStreetMap Editorの新ロゴ

JOSM開発陣はここ数ヶ月の期間、ロゴデザインコンテストを実施してきました。そしてつい先日、彼らは最優秀作品を発表しました。こちらが、JOSMの新しいロゴです:

new-josm-logo 素晴らしいデザインを作成されたDiamond00744さん、おめでとうございます!

JOSMとは?

JOSMは “Java OpenStreetMap Editor” の略語であり、OpenStreetMapを編集する際に利用する編集ソフトのひとつです。JOSM以外によく使われるエディタは、ウェブサイト上で “編集” のボタンを押すことで一覧を表示することができます。その一覧の中で、現在最もよく使われているのは “iD” エディタです。JOSMはiDエディタとは異なり、ブラウザ上ではなく、デスクトップ上で別個のアプリとして動作するソフトウェアとなっています。 josm-screenshot-logo-hamlet Tordanikさんが提唱する “JOSMを使うと捗るポイント” のまとめ:

  • 作業効率: 考えぬかれた配置のショートカットや、きめ細かい検索機能、編集対象以外のデータを隠すフィルタ機能などを使うことによって、より素早い編集が可能。さらに、他のあらゆるエディタよりもひろい選択機能が実装されている
  • データ整合性チェック: データの妥当性チェック機能を使うことで、編集を実施したデータがクリーンであることをアップロード前に確認可能
  • オフライン編集: 作業をほぼローカル環境で済ませることが可能。GPS移動ログや写真などのプライベートな情報を、アップロードすることなく利用可能
  • 機能カスタマイズ: キーボードのショートカット変更や、特定のタスクに適したプラグイン機能の利用、実験的な機能やUIの有効化、エディタに表示させる地図の見た目の変更機能など
  • 最先端のマッピング: 3Dマッピングや、道路のレーン数といった最近注目を浴びるマッピングへの対応ツール実装

もちろん、JOSMが万能というわけではありません。あなたが選ぶエディタはあなたの好みによります。一般的な観点からすると、iDエディタは初心者が理解しやすいように作られており、OSM.orgのサイトをはじめて訪れたかたにも優しいデザインになっています。そしてJOSMはより豊富な機能をもち、経験を積んだマッパーたちに好まれる傾向があります。この傾向は、Oli Wanさんが管理しているwikiページ ‘エディタ毎の編集統計/Editor usage stats’ の統計にも現れています。彼が分析するところによれば、JOSMユーザは自身の行う編集内容に責任を感じる傾向があり、他方、編集を行うユーザの大部分は”iD”エディタを利用しています。もしあなたがまだ”iD”エディタしか使ったことがなく、上に挙げた特長のなかで気になる点がもしあるとすれば、いちどJOSMをダウンロードして使ってみることをお勧めします。JOSMのwikiページにあるガイドや、LearnOSM.orgなどにある手引きなど、編集方法のガイドやチュートリアルはいくつも存在しています。ただしどちらにしろ、まず最初は josm.openstreetmap.de からソフトウェアをダウンロードするところからスタートです (現在の最新版 version 7777は、新しいロゴで配布されています)。JOSMウェブサイトには、問題点を報告するイシュートラッカーや、ソフトウェアのコードリポジトリなども配置されています。

新規実装されたクエリ機能について

数週間前、私達はOpenStreetMap.orgホームページに新しい機能を追加しました。画面の右側に表示されている “?” マークをクリックすることで、地図に対してクエリをかけることが可能になっています。

  • openstreetmap.orgを表示し、ズームします
  • “?”マークをクリックし、クエリモードを起動します
  • 地図上のどこか気になった部分をクリックします
  • クエリ結果が表示されます。結果を選択するとより詳しい内容が表示されます

query_tool 地図上からクエリを実行すると、その地点を中心にOpenStreetMapデータベースに対してPOIの検索が行われ、そのPOIに対して付与されているタグ情報など、詳しい情報がデータベースから抽出されます。

単なる地図以上の地図を

この新しいツールは、OpenStreetMapがもつ非常に重要な側面を強調しています。すなわち、OpenStreetMapは単なる地図画像ではない、ということです。OpenStreetMapは地理空間情報を格納する巨大なデータベースであり、”標準の”地図表示ではそのすべてを表現することができません。その対応策として、例えば標準以外のレイヤ (例えば、サイクリングマップでは自転車ルート) を利用することで別の情報を表示させたり、”地図データ”レイヤを有効化することによって全ての情報を表示させることも可能ではあります。そして、このクエリツールはそれら以外の方法でOpenStreetMapのデータを可視化することができるもうひとつの機能であり、私たち貢献者がデータベースに追加した情報の詳細な内容を明らかにするものです。開発者にとって、これらのデータは可能性の世界の扉を開く鍵となります。すべてのデータは自由にダウンロード可能です。

State Of The Map – Thanks

OpenStreetMapコミュニティが集まる年次総会 “State of The Map”が先週開催されました。

今年のカンファレンス開催に携わったHenk Hoffさん、Gonzalo Gabriel Perezさん、Fernando Sanzさん、そして Nicolás Alvarezさんをはじめ、すべての方々に深い感謝を捧げます。彼らは様々な課題に立ち向かい、そしてそれらに打ち勝ってきました! そしてまた、今年のState of the Mapを支えてくれたスポンサーの皆様にも感謝します:sponsor logos

今年のカンファレンスも前年度までと同様、OpenStreetMapの友人たちと会合する素晴らしい機会であり、多種多様な地図の使い方や地図への貢献のショーケースであり、これからプロジェクトを先に進めるためのアイデアを混ぜあわせるるつぼのような場でした。そしてさらに、その場で発表を行った全ての発表者に感謝を捧げます。私達は現在、当日行われた講演のビデオを公開しようと考えています(もちろん、言うは易し、ですが)。[更新 ビデオの公開をこちらで開始しました] また、Flickrには ‘sotm14’とタグが付けられた写真が数多くアップロードされています。SOTM 2014のWikiページで公開されているプログラムからは、セッションごとに、Wiki編集が可能なサブページへのリンクが作成されて言います。ページの編集は自由ですので、是非、スライドデッキやその他の関連情報へのリンクを追加してみてください。

そして、非常に興味深い発表や講演に加え、カンファレンスとは別に、当日はいくつかの重要な事柄がありました。OpenStreetMap Foundationの選挙結果の公開です。

OpenStreetMap Foundation選挙結果

これまで行われていた選挙と同様、SOTMカンファレンスの期間中にOpenStreetMap Foundation年次総会が開催され、新しい理事の選出が行われました。選挙では、Frederik Rammさんが再選し、Kathleen Danielsonさんと Paul Normanさんが、辞任を表明したMatt Amosさんと Simon Pooleさんの代わりに、新しく理事として就任しました。新しく就任された理事のかたがたに期待するとともに、選挙運営に関わったすべてのかたがたに感謝します。選挙に関するより詳しい情報はwikiに記載されています。

新機能 ‘?’

過去のカンファレンスでもそうだったように、何人ものOpenStreetMap開発者が、カンファレンスのあった週末にあわせて様々な機能の開発を行ってきました。今年、私達は新しく ‘?’ ボタンをopenstreetmap.orgページの右側に配置しました。ぜひボタンを押して試してみてください! 近々、より詳しい情報が公開されると思います。

OpenStreetMapラテンアメリカのスタート

そして新しく、OpenStreetMapラテンアメリカ・グループが新しくカンファレンスの期間中に開始となりました。彼らは自分たちで ‘talk-latam’ メーリングリストを開設し、“State Of The Map Latin America”カンファレンスを開催して、世界中で行われているカンファレンスの環に加わろうと計画しています。これは素晴らしいニュースであり、私達がブエノスアイレスに訪れたことによる素晴らしい成果です。私達は世界各地で年次大会を開催し、OpenStreetMapの楽しさを津々浦々に響かせたいと考えています。このような形でグループが形成され、活動を始めたことはまさに私達が期待していたことでもあります。南アメリカのコミュニティがOpenStreetMapにとって非常に重要であることは論をまたない事実であり、今年のカンファレンスが南アメリカで行われたことは非常に喜ばしいことです! 美しい都市ブエノスアイレスで、アルゼンチンのOpenStreetMap貢献者たちがStete of the Map 2014をホストしてくれたことに感謝します。

変更セットディスカッション機能のご紹介

OpenStreetMapプロジェクト成功の鍵はコミュニティとコミュニケーションにあります。これまで、個人が行った編集に対するディスカッションは、いつもややこしく煩雑なものでした。この投稿ではOSMウェブサイトの新機能 “変更セットディスカッション”、すなわち変更セットそれ自体に対して公開ディスカッションを行う機能について解説します。

“変更セットディスカッション”導入前

“変更セットディスカッション”機能が実装される以前、変更セットに対してコミュニケーションをとる手段は、メーリングリストやフォーラムといったサイト外の手段を使うか、あるいはその変更セットを作業した編集者に対して直接OSMメッセージを送るしかありませんでした。どちらの手段も、ややこしい手順が必要でした。

そのため、これまで変更セットに対して議論を行うことはしばしば困難を伴っていました。新しいユーザがプラス方向のフィードバックや役に立つを得ることはほとんどなく、編集結果に賛否両論ある場合には、公開で議論が行われること無いまま、しばしばDWGの担当事案となってきました。

“変更セットディスカッション”導入後

“変更セットディスカッション”ではこの問題に関して、OSMに関係している変更セットに対して直接ディスカッションを開始することができるようになりました。このディスカッションは公開状態であり、貢献者の間での協調を図ることが可能となります。

この機能はOSM Note機能に対しても同様に、コメントを残すことができます。これにより、例えばノート(日本語訳: 編集メモ)の投稿者に対してより多くの情報提供を依頼するなど、ノートに対する公開ディスカッションを開始することが可能です。

変更セットへのコメント方法

“変更セットディスカッション”は既にOSMウェブサイト上で利用可能です。機能を使うには、画面左側に変更セットの内容を表示させ、そこにコメントを入力します:

変更セットコメントの追加

入力が終わったら投稿ボタンを押すと、コメントが表示されます:

投稿された変更セットコメント

Harryさんが返信している様子はこんなかんじです:

コメントに対するHarryさんの返信

…私の手元にEメールで通知が届き、返信があったことが知らされます。

ディスカッションへの参加/退出の選択

変更セットにコメントを入力した後、その変更セットに対して新しくコメントが投稿されたると、自動的に通知を受け取ります。これにより、それ以降の議論に継続して参加できるようになります。コメントを投稿せずにその変更セットの議論を確認していたい場合、”議論に参加/Subscribe”ボタンを押してください。

変更セットへの議論参加 I

その変更セットの議論を今後確認する必要がない場合は、”議論から退出/Unsubscribe”を押すと、新しいコメントが投稿されてもアラートが送られなくなります。

“変更セットディスカッション”のユースケース

  • 新規ユーザの歓迎

前述のとおり、OSMは新規登録したユーザに対してコミュニケーションをとるよい方法がありませんでした。変更セットディスカッションを使うことで、彼らの最初の編集に対して歓迎のメッセージを送ることができます。加えて、例えばタグづけのレクチャーや特定のやり方の連絡といった内容を、彼らに対する強力なフィードバックとして返すことが可能になります。

  • プラス方向のフォードバックを送る

コミュニティとして、私達は自分たちが行った編集に対してプラス方向のフィードバックを受けることはあまりありませんでした。変更セットディスカッション機能を使うことで、その編集に対するありがとうメッセージを送ったり、送られたりすることができるようになります。

  • 編集の変更内容についての質問を送る

例えばnameタグの内容が変更されたり、道路のクラスが変更されたりした場合など、編集内容に疑問点がある場合は、ユーザに直接連絡をとって確認をしたいことがあります。変更セットに質問が書き込まれることで、その編集を行った編集者に対して公開フォーラムのような形であなたからのフィードバックを送ることができます。これにより、いままでよりもさらにオープンで開かれたディスカッションを行うことができ、ユーザ間の衝突や編集競合が起こりづらくなることが期待されます。

APIもあります

“変更セットディスカッション”はAPIのコンポーネントも準備されており、Wikiに解説ドキュメントがあります。このAPIを使うことで、OSM編集ソフトウェア上から直接この機能を利用できるような実装を行うことができ、コミュニケーション/コミュニティを通してよりよい編集プロセスが築かれます。

スペシャルサンクス

 

“変更セットディスカッション”機能は、Google Summer of Codeでの開発、特に、光栄にも私 (訳注: Serge Wroclawskiさん) が担当した生徒である Lukasz Gurdekさんの作業の結果として生まれた機能です。彼の活動成果はまさしく最高級であり私は彼と作業ができてたいへんうれしく感じます。

また、開発されたコードをOSM.orgのコード体系にマージするにあたり、私とLuksazさんと一緒に作業してくれた Tom Hughesさんに特別の感謝を捧げます。彼のがんばりがなければ、私達のブランチはウェブサイトに実装されることがないままだったでしょう。

そしてもちろん、この機会を与えてくれたGoogleと、Google Summer of Codeプロジェクトにも感謝を捧げます。

OSMF理事選挙 – 立候補者の募集開始

3D Team Leadership Arrow Concept CC-BY-SA2.0 lumaxart.com

OpenStreetMap年次カンファレンス State of the Mapの開催が近づいています。それはすなわち、OpenStreetMap Foundationの理事選挙が近づいてるということでもあります! 選挙にあたり、知っておくべきことをまとめます。定数7名のうち、今年は2人が改選となります。

誰がOpenStreetMap Foundationの理事となるべきか

あなたです。あなたこそがなるべきです。OpenStreetMapそれ自体のとりまとめをしてみませんか? OpenStreetMapをよりよいものとするため、他の人々とともに組織をまとめ、総体としてまとまって活動を進めるやりかたに興味はありませんか? OpenStreetMapにおいてもっとも大切な考え方を既に理解しているならば、あなたが持っている重要な技術や知見、能力を理事会のなかで活かしてみませんか? それらを表明し、理事として立候補してください。

立候補要件

上記の条件を満たす限り、ブエノスアイレスで開催される年次総会に直接参加することができなくても、理事への立候補や投票を行うことが可能です。

立候補の手順

  • 理事への立候補を決意する
  • OpenStreetMap Foundationのあなたのメンバー登録状態を確認する
  • 会員区分が賛助会員だった場合、通常会員に変更する
  • wikiの立候補者一覧表に自分の項目を追加する
  • 立候補の宣言文、および、あなたを知らない他メンバーのために、あなたが持っている能力や技術、考え方、意向を表明する文章を用意する。立候補者一覧表から、当該の文書にリンクを貼る。2013年に行われた理事選挙を参考にしてください
  • 選挙に関連するメーリングリスト議論をフォローし、立候補者への質問に回答する

いますぐ準備をはじめてください。アナウンスや、公式の開始日、投票終了日はあなたが気が付かないうちに始まっているかもしれません。よろしくお願いします。

投票に関して

通常、投票は、毎年のState of the Mapと同時に開催される年次総会 (Annual General Meeting(AGM))と同時に開催されます。より詳しい情報は、wikiページで随時公開予定です。昨年は、State of the Mapに参加できないかたのために、メールを使った代理投票が行われました。詳しくは追って公開されます。

単記移譲式投票 (STV, Single Transferable Vote)

本年の選挙では、これまでの理事選挙で行われていた、単純な”最多得票数”による方式ではなく、STV方式 (日本語) が採用される見込みです。Wikipediaでは、以下のように説明されています: “単記移譲式投票 (Single transferable vote (STV) ) は、比例代表を提供するよう設計された優先順位投票を用いた 投票制度である。” より詳しくは記事本文を参照ください。Happy Mapping.

(cross-posted from weait.com)