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かの猿を求めて

私達 – State of the Mapワーキンググループおよびハイデルベルグ現地チーム – はSotM 2019の準備を進めています。この12月、私達はウェブサイトの公開を開始しました。

https://2019.stateofthemap.org/

現地チームは素晴らしいロゴを用意し、カンファレンスのモットーとして“Bridging the Map”を設定しました。これはOSMコミュニティではなく、本年の開催地ハイデルベルグをも象徴するものです。

State of the Map 2019 logo by Michael Auer
ハイデルベルグに古くから掛かる橋のたもとに、興味深い小さな彫刻 -銅製の猿- が居を構えています。その手には鏡が握られ、橋を往来する人々が自分の歩んできた道のりや、自分が何者であるのかを見返すきっかけとなっています。2019年ハイデルベルグで行われるSotMにおいて、私達はこの小さな猿の役割を果たそうとしています。自分たちがどこに向かうか、そして自分たちがOSMで何をしているかにかかわらず、私達の出発点はたったひとつの、誰でも書き加え使うことのできる小さな地図から始まっていることを忘れないようにしたいのです。趣味でマッピングをしているひとも、学術調査を行う研究者たちも、人道支援活動家も、NGOも、行政職員も、小さな企業も国際企業も、皆、私達の間に横たわるギャップに橋をかけようとしています。そしてさらに私達は、マップに橋をかけたい (Bridge th Map) のです。

2019年のこれからの想定タイムライン

2月15日 – 奨学生(スカラー)の公募
2月28日 – 発表概要の公募開始(一般およびアカデミック双方)
3月30日 – 奨学生の公募締切
4月24日 – 発表概要の公募締切
5月16日 – アーリーバード・チケット発売開始
6月20日 – 発表プログラムのアナウンス
7月04日 – 一般チケットへの価格切り替え
9月21〜23日 – State of the Mapハイデルベルグ/ドイツ

オープン、オープン、オープン

カンファレンスの準備に関する日々の作業に加え、私達はよりFOSSツールの利用を行うべく、検討に時間を割く必要がありました。まず、ミーティングのためのツールをHangoutからMumbleに変更しました。私達はいま、すでにOSMF理事や他のOSMFワーキンググループも利用を行っているHOTのMumbleサーバを利用しています。このツールはこれまでも利用実績がありましたので、Mumbleが十分な機能を有しており、すべてのプラットフォーム上で稼働することが確認できていました。私達の次のステップはさらにチャレンジングでした。私達は、Eメールのコミュニケーションについて、Google MailからOpenStreetMapメーリングリストへの移転を試みました。移管作業は、地域ごとの分割など、その中途で判明したさまざまな制限事項のためいまだドメインの移管ができていません。そこで、いったん状況がおちつくまで、stateofthemap.org MX のGoogleアカウントは保持することを決定しています。現時点で、“team@stateofthemap.org”は有効なメールアドレスですが、実際にはsotm@openstreetmap.orgへの転送が行われています。

sotm@openstreetmap.org
program-sotm@openstreetmap.org
academic-sotm@openstreetmap.org
scholar-sotm@openstreetmap.org
sponsor-sotm@openstreetmap.org

上記のすべてのメーリングリストは、プライベートに設定されています。閲覧できるのはSotMワーキンググループの参加メンバー、あるいは適切なチームのメンバーだけです。例えばprogam-sotm@openstreetmap.orgはプログラム選定委員が閲覧でき、すべての内部コミュニケーションで利用されています。同時に (メンバー外を含む) すべてのひとはこれらのメーリングリストに文章を送付し、プログラム選定委員に対して連絡を行うことが可能です。

次の検討はカンファレンス参加者の発表 – “発表概要公募”の投稿フォームでした。私達はGoogle Formから、オープンソースソフトウェアであるPretalxへと切り替えを行いました。このソフトウェアはFOSSGIS (ドイツ支部) にて利用実績があります。そのため、私達はその利点と欠点についてよく理解していました。

私達が利用するツールにはまだプロプライエタリのソフトウェアが含まれており、これらのオープンソースソフトウェアへの切り替えには、私達だけではなくオペレーションワーキンググループも含め、まだもう少し作業が必要です。ここ数ヶ月の間、私達はこれらの作業に時間を使ってきましたが、まだ形の整っていないSotMの準備フェーズにおいて、私達ができることにも限りがあります。また、オープンソースソフトウェアは時折、同等のプロプライエタリソフトウェアに比べて快適さに劣ることがあり、影響をうけるすべての人に、こうした努力を費やすよう説得することは困難を伴うものです。State of the Mapワーキンググループはオープンソースソフトウェアを利用するアイデアを支援しており、この作業はその目的に沿うものであると考えています。(確かに険しい道ではありますが)

State of the Mapワーキンググループ
イベントに関する最新情報はこちら


SotM 2019アカデミックトラック – さぁ始めましょう!

SotM 2019 logo, by Michael Auer, on a round table © CC-BY-SA 4.0 OSMF CWG

ミラノで行われたState of the Map 2018 [1] からはじまったアカデミックトラックは大成功のうちに幕を閉じ、ハイデルベルグで9月21−23日に開催される本年のState of the Map 2019でもプログラムの一部として引き続きトラックに組み込まれることとなりました。

アカデミックトラックの主な目的は、OpenStreetMapコミュニティの大部分 (貢献者、開発者、利用者など)と、世界中から参加する研究者たちによる学術/科学コミュニティとを一箇所に集め、交流を深めることにあります。

アカデミックトラックの運営にあたっては、専任の主導チームが担当します。現在のメンバーは、Marco Minghini (OSMF State of the Mapワーキンググループ代表) とYair Grinberger (ハイデルベルグ現地チーム代表) の2名です。私達はここに、主導チームへの参加希望者を公募します。このチームは以下の事柄を担当します:

  • State of the Map 2019のcall for abstracts/papersの記述と公開
  • 口頭発表およびポスター発表の受け入れ
  • プログラム選定委員と緊密に連携をとりつつ、State of the Map 2019におけるアカデミックトラックのスケジュール策定を実施
  • 論文公開の計画と管理, 例: 今後のカンファレンスや科学ジャーナルの特集掲載

OSMF State of the Mapワーキンググループと現地チームにも了解を得た上で、アカデミックトラック主導チームはMarco と Yairに加え、公募による3人のメンバーを構成員とすることに決定しています。それに従い、アカデミックトラック主導チームのメンバーとして、研究者あるいは学術関係者の募集を行います。この公募の参加条件はありません。応募はscience@openstreetmap.orgへのメール送付を通じて行われます (投稿はhttps://lists.openstreetmap.org/listinfo/scienceから事前登録が必要です) 。以下のテンプレートに記入を行い、送付をお願いいたします。

Name and Surname 
Please enter your name and surname.

Affiliation
Please enter your (current) full affiliation.

Academic experience, in particular on OpenStreetMap
Please enter a short description of your main academic interests and  contributions, especially related to OpenStreetMap. A full list of  OpenStreetMap-related publications (or a link to it) is appreciated.

Editorial experience
Please enter a short description of your editorial experience, e.g.  as a Member of the Editorial Board of scientific journals, Guest-Editors  of Special Issues, reviewer for scientific journals. Place the focus on  OpenStreetMap, when relevant.

Participation in State of the Map 2019
Despite it is not required that you are attending State of the Map  2019, please inform us whether you plan to attend (if selected as a  member of the Academic Track Leading Team).

本公募に関する手続きにおいては、自薦のみを対象とします。

公募の募集期限は2019年1月3日です。

募集はOSMF State of the Mapワーキンググループとハイデルベルグ現地チームによって精査されます。アカデミックトラック主導チームの3つのシートは、候補者の個人的な得意分野や、総体として取りうるべき多様で分野横断のチームが構成できるかという観点から選出されます。もし候補者の数が不足した場合、OSMF State of the Mapワーキンググループおよびハイデルベルグ現地チームは採用人数を2名以下にするか、あるいはその他の人材を招待することによって不足を補う権利をもちます。

Best regards,
Yair and Marco – OSMF State of the Mapワーキンググループ代表、およびState of the Map 2019ハイデルベルグ現地チーム代表

[1] See the call for abstracts for 2018 and the program of the Academic Track on Sunday, 29 July, room S1.3 (https://2018.stateofthemap.org/program)

ベルギー地域支部のご紹介

Signing the Local Chapter agreement, during State of the Map 2018 in Milan. © CC-BY-SA 4.0 OSMF Communication Working Group

State of the Map関連ニュースをフォローしていただいている皆様へ、OpenStreetMap Foundationの新地域支部としてOpenStreetMap Belgiumが加盟したことをお知らせします!

ベルギー支部自身での紹介文:

“OpenStreetMap Belgiumは非常に少人数のマッパー・グループによるミートアップとて始まりました。この数年で、集まる人々が増え、OpenStreetMapの利活用と露出が増えると共に、自分たちを組織としてよりよい運営を行ってゆく時期に到達しました。Open Knowledge Belgiumのワーキンググループのひとつとして招待をうけることにより、必要以上の負荷をかけないかたちで私達は組織化を果たしました。これまで私達は、FOSS4G BelgiumやOpen Belgium年次カンファレンス共催、ミートアップを含め多くのOSM関連イベントの開催を行うことでOpenStreetMapの支援活動を行ってきました。これらの活動は、私達コミュニティにとって大きな追い風となったSotM 2016を開催することでわずかに高い段階に入りました。地域支部としてOSMFに加わることができることを非常に喜ばしく感じると共に、今後もOpenStreetMapプロジェクトについて、地域と国際の別なく、プラスのインパクトを与え続けられるよう願っています。

OpenStreetMap Belgium支部は広報のための組織です。www.osm.beはそのことを念頭に構築されています私達はOSMへの切り替えを支援するため、ベルギーのための無料タイルを提供しています。また私達は、例えば自治体行政が行政のデータをOSMに容易に統合することができるツールを開発するなど、Open Summer of Codeに参加することでオープンソースを広めています。さらに私達はコミュニティ外の人々からの”コンタクト一元窓口”としても存在することで、プロジェクトに関わる事柄とのコミュニケーションをスムーズにできるよう調整を行っています。同時に、プロジェクトがより深刻な問題に直面する際に公式の声明をあげる場としても機能しています。より大きなOpenStreetMapムーブメントの一部として、直接的にあるいは時にMissing Mapsや関連プロジェクトの支援というかたちで、私達は他の国や地域を支援しようとしています。”

私達はOpenStreetMap Belgiumを歓迎します!

地域支部の設立に関心がありますか? より詳しい情報は、OSMFのウェブサイトLocal Chapterメーリングリストを参照ください。

Play a role in shaping OpenStreetMap

本年、OpenStreetMapは地図編集参加者100万人というマイルストーンを迎えました。全世界の各地で行われたState of the Mapカンファレンスで行われた素晴らしい発表やワクワクする出来事は耳に届きましたか? コミュニティは成長を続けています。この長い旅路をよりよくするためには、何が必要でしょうか。あなたもこの旅に、一緒に加わりませんか?

もし地図が大好きだったり、OpenStreetMapを最新に保つために活動したり、マッピングイベントに参加したり主催したり、あるいはOpenStreetMapの核心や赤裸々な状況を誰かに話すことが好きだったり、OpenStreetMapに関するブログやユーザ日記を書いたり共有したりするのが好きだったり – もしまだメンバーに未加入だったら、あなたもOpenStreetMap Foundationに加わり、OpenStreetMap Foundationを支えてみませんか。

OSMF Working Groups

11月中頃まで、私達は新規会員登録キャンペーンを行っています。ぜひメンバーに加入してください。すでに全世界で800人のメンバーがいます! 投稿にイイネを押したり、リツイートしたりして、ご友人や地元のイベント/カンファレンスなどに新規会員登録キャンペーンを広めてください。

よくある質問:

参加する理由は?

  • OpenStreetMapのサーバ群の稼働を止めないため: OpenStreetMapは世界で最大のユーザ作成型地図であり、誰もが自由に使うことができます
  • ボランティアのワーキンググループ支援: 私達のワーキンググループはデータ破壊行為や法的な脅威からOpenStreetMapを守り、ライセンスに関する課題を解決し、カンファレンスを運営し、ハードウェアとソフトウェアを最新にするなど、多くの作業を行っています
  • OSMイベントへの参加費ディスカウント: 年に1回開催されるState of the Mapカンファレンスでは、OSM Foundationメンバー割引が行われます
  • 単純に、OpenStreetMapを支援することができます

OSMFメンバーになったあと、なにができるようになるの?

  • Foundationの運営に対し、公的に声をあげることができるようになります – 組織はサーバを所有・管理するとともに、ライセンスを保有し、State of the Mapを開催し、地域支部を取りまとめています
  • プロジェクトの将来の方向性に関与することができるようになります
  • 年に1回開催されるOSM Foundationに関し、プロジェクトの舵取りとなる理事選挙への投票権をもちます

参加したいけれど、参加費の支払いを行う施設が周囲に存在しない場合は?

参加費免除メンバーのプログラムを準備中です。少々お待ちください!

OSM condemns recent anti-semitic vandalism

本日未明、多くのオンライン地図が、”ニューヨーク”のラベルの代わりにユダヤ人を差別する言葉が表示された、という記事が多くのニュースの紙面に上りました。残念ながら、このデータの発生元は編集可能な私達の地図プロジェクトであることを認めざるを得ません。この破壊行為は発生から2時間で検知および修正され、破壊行為を行ったユーザは今後OpenStreetMapへの参加がブロックされました。

私達の組織とコミュニティを代表して、OpenStreetMapはこのような恥知らずの人種差別的ヘイトに対し、強い遺憾の意を表します。私達が知識の共有のため心血を注いで打ち込むこのプロジェクトが、無知とヘイトの表現を振りまく目的で利用されたことに、私達は大きく悲しんでいます。一体、何が起こったのでしょうか。

OpenStreetMapの”オープン/Open”には、オープンに編集可能である、という意味が含まれています。Wikiスタイルで、クラウドソースのちからを集め、世界中のユーザが貢献し、編集を行うことでコラボレーションしています。Wikipediaのようなwikiと同様、すべての変更は速やかに公開され、そして私達のコミュニティはツールを用いて相互に監視し、悪意のある編集を取り消ししています。この”ソフトセキュリティ”のアプローチは一見すると驚くべきものですが、私達の数年間の取り組みを通じ、人間の本性の勝利を勝ち得ています。それはつまり、大多数の人々は何か大きな物事を成し遂げるために集い、そして腐ったりんごを発見して排除するということです。OpenStreetMapは非営利で行われる善意の活動であり、地図データはコミュニティによって “所有” されています。OpenStreetMapに関わるすべてのひとが、その状態を誇りに感じています。

この破壊行為は約一ヶ月前、実際に発生してしまいました。そしていくつかの企業 -本件ではMapbox社- が実施している地図データの更新処理が遅延したことにより、私達の地図が数千ものアプリケーションやウェブサイトに表示されることとなり、結果として破壊行為が今日、広く一般に公開されてしまうこととなりました。Mapbox社はインシデントへの対応をこちらに公開しています。こうした問題をより早く検知し、より早く対応するためのよりよい品質管理ツールを開発することはOpenStreetMapコミュニティのなかで引き続き検討事項となっています。Mapbox社は、破壊行為の検知を行うソフトウェア開発や、悪意のある編集の関しと編集取り消し作業にあたる人的リソースのコミットの双方において率先して活動を行っています。残念ながら今回は、処理に関わるプロセスにおける人的ミスが原因で、Mapbox社が提供するOSMベースの地図でこのインシデントが発生し、Snapchat等の企業の地図に影響が発生しました。

もし私達の地図への破壊行為を見かけたら、あなたにもできることがあります。破壊行為に関する詳しい情報はこちらにまとめられています。私達はコミュニティやデータ利用者と共に、私達の地図をより強くする活動を続けます。

Server moves: Goodbye Imperial. Hello Equinix Amsterdam

ラックから外され、移設を待つサーバ群

私達のサーバのうち、何台かが新しい家に引っ越しをしました。この数年間、私達のサーバ群のうち極めて重要な数台はImperial Collegeでホスティングされていました。しかし、Imperial Collegeでのオフィス増床工事に伴い、この度、機器の移転が必要となりました。これまで共に歩みを続けてきてくれたImperial Collegeに感謝します!

私達はこれからもしばらくUniversity College Londonのご厚意に預かることとなり、また他にもいくつかの重要なサーバが、Bytemarkによる寛大な貢献のもとにホスティングをされています。さらに、個別には言及しませんが、他にも多くのタイルキャッシュサーバが全世界でホスティングされています。もしサーバの詳細に興味のあるかたがいらっしゃいましたら、こちらのページから一覧を参照いただくことが可能です。

しかしこの一覧はすぐに更新されることになります。Imperialデータセンターに格納されていたマシンは電源を落とされ、移設が行われるからです。移設作業は今週末、OWG/OSMFの有志によって行われます。

サーバの移設先はどこになるのでしょうか? 私達は新しい家屋を探して、いくつかの提案を検討してきました (ご回答頂いた皆様、ありがとうございます!) そして、私達のセンターサーバの提供元として、Equinix Amsterdamを選定しました。これにより、私達のサーバ設置箇所に関してもダイバーシティが少し向上することになります (多くのサーバはUKにあります) が、何百マイルも離れているほどではないとはいえ、念の為私達の運営チームがそこに訪問する必要があります。Equinix Amsterdamは素晴らしい “スマートハンド” を提供しており、定期的な物理訪問を必要なくしています。これはつまり、Operation Working Groupがデータセンターに駆けつけてくれる人員をアムステルダムに必要とする場合、そこに行ってくれる誰かを探すことになる、ということでもあります。OWGチームの言葉を引用すると、このボランティアは “need to be trusted, competent and did I say trusted” です!

私達はこのサーバ移設の管理と実行に関し、OWGボランティアに対してこれまでにない感謝を申し上げます。

GDPRへの準備について

Modified image. Original by TheDigitalArtist. Licence: CC0

OSMF理事およびOSM作業部会は、データ保護ルールに関して近日発効される法的な変更に対する準備を行っています。一般データ保護規則 (General Data Protection Regulations, GDPR)は欧州において、2018年5月25日を以って発効します。OpenStreetMap財団 (OSMF)は欧州域内の法的主体として、GDPRに準拠することを求められています。OpenStreetMap License Working Group (LWG, ライセンス作業部会) はGDPRに対するホワイトペーパーを作成し、今後必要となる準備作業について通達を行っています。その終わりに、私達は今後数ヶ月間の間に実施する予定のGDPR準備計画を作成しました。必要とされる変更のほとんどは、管理上の事柄です。私達は、今後みなさんがOSMを利用するにあたって関係することを中心に、何が変更されるのか、解説しようと思います。

詳細解説の前に、いくつかのキーポイント:

経路探索のためにOSMを使っている場合

OpenStreetMapは自由でオープンな世界地図です。もしOSMデータを使って経路探索を行う場合、必要となる変更はありません。例えばここには、なんらかの形で地図を作成したり、地点情報の検索を行ったり、経路探索を行ったりする場合が想定されます。

OSM貢献者の場合

みなさんが行った貢献に変更はありません。しかしながら、OSMFはプライバシーポリシーを更新し、個人データの収集方法と処理内容について、GDPRにもとづいた特記記載を行います。今後、追記が行われる際に、その内容をご確認ください。

また、OSMが行うGDPR対応計画が完了した後、個人データを含むメタデータへのアクセスは制限されることとなります。(その他のデータへのアクセスには変更ありません。具体的にどのAPIコールに修正が加えられるかは、こちらのwikiページを参照してください) この制限作業の結果として、実際に貢献者あるいは編集者として影響があるかどうかは、利用するエディタの種類や、GDPRの結果を受けて別ソフトが開発されるかどうかに関連してきます。OSMFは、広く利用されるエディタのメンテナーに対し、どのような変更が加えられるかの解説を行い、開発を支援することを検討しています。今後、いくつかの情報のやりとりを行う予定ですので、そちらを参照してください。

OSMデータを利用したサービスプロバイダの場合

OSMメタデータ、(特に、ユーザ名やユーザID、変更セットIDなど)個人データを含むメタデータを利用するプロジェクト(例: ソフトウェア)に関係している場合、データへのアクセスを有するために、OSMFが個人データ保護のために定める利用規約に従う必要があります。これらの規約はGDPRに準拠するよう作成される予定であり、規約はコミュニティが閲覧できるようにされる予定です。今後の投稿をお待ちください。

また、2018年5月25日以降、EU域内から個人データの処理を実施しようとする場合、GDPRの対象となり、適切な対処が求められることにも注意する必要があります。例えば、GDPR 第14条 (https://gdpr-info.eu/art-14-gdpr/) に記載されるとおり、透明性が必要とされます。OSMFおよびLWGは、準拠に必要となる作業を簡略化するためのテンプレート文書作成に着手していますが、最終的には、個々のデータ処理において実施する内容に応じたGDPRコンプライアンスが必要となります。

OSMメタデータを利用しているプロジェクトの場合

メタデータを利用しているプロジェクトは最も影響を強く受けます。もしOSMメタデータを利用(例: 品質管理やデータ検証など)しているプロジェクト(例: ソフトウェア)は、GDPRの適用対象となり、適切な管理が必要とされます。それらのプロジェクトでは、第14条の記載に基づき、すべてのOSM貢献者に対する情報提供と、プライバシーポリシーおよび実施方法の開示が必要となります。

GDPRとは

GDPRについて知るための情報源は数多く存在します。データ利活用およびデータ保護という2つのポイントは覚えておいたほうがよいでしょう。GDPR (EU) 規制の全文はこちらから参照できます。OSMライセンス・ワーキング・グループのGDPRホワイトペーパーはこちらからレビューできます。また、いくつかの組織では非常に明確なダイアグラム解説チェックリスト作成を行っています。

ODbLとの準拠状況について

はい、ODbLにも準拠しています。ODbLは、著作権とデータベース権について定めるものです。条項では明確に、商標や特許などの知的財産権について対象から除外(そのため、OSMFは別途商標ポリシーを定義しています)しており、さらに、その他の国家法についても除外しています。具体的には以下の部分です。 “The right to release the Database under different terms, or to stop distributing or making available the Database, is reserved.” 同様に貢献者規約では、それらに対して知的財産権およびライセンスについて定めつつ、その他のプライバシー法などについては言及していません。

実施計画について

変更点や更新の開示は、以下のページから行っています。OSMF理事はライセンシング・ワーキング・グループと連携し、今後数週間にわたってより詳しい作業を実施してゆきます。

https://wiki.openstreetmap.org/wiki/GDPR

質問はこちら

いただいた質問には、OSMF理事およびOSMワーキング・グループより解答します。

(Pokémon GOから始めた)新規マッパーに、コミュニティメンバーからお願いしたいこと

以下の文章は、Pokémon GOをきっかけに新しくマッパー活動をはじめたSpanholzさんからのオリジナルメッセージに対し、他のOSMコミュニティメンバーからの助言をもとに修正を行ったものです。修正は許可を得て行っています。

2017年、Pokémon GOとIngressは背景地図をOpenStreetMapに切り替えました。ゲームを遊んでいる多くのかたが、背景地図から情報が少なくなっていることに気がついたかと思います。例えば建物が表示されていない、公園や歩道が消えている、などです。ですが、この背景地図はあなたが編集することで、それら失われた情報を追加し、自由な世界地図作りに参加することができます。

OpenStreetMapとは
OpenStreetMap (OSM) は誰もが編集可能な地図です。Wikipediaに近しいところがありますが、違っているところもあります(Wikipedia編集に参加したことのあるかたはぜひこちらをお読みください)。あなたは、地球上で目にするあらゆることを、この1つの大きな地図に書き加えることができます。これは、誰もが使うことのできるオープンデータなのです。例えばNiantic社はPokémon GOでOSMデータを使っていますし、Wheelmapユーザは足の不自由なかたをサポートするためにOpenStreetMapを使っています。Kurvigerはバイクでより気持ちよく走れるよう、適度に曲がって住宅地から離れた場所を案内してくれます。あなたが情報を書き加えることで、それ以外ににも多くの用途で、データは実際に利用されます。

OSMと他のオンライン地図との違い
OpenStreetMapのデータはオープンです。適切な著作権表示を行ってさえいれば、OSMデータをもとにした地図を印刷して販売してもかまいません。地図データを使って、経路探索システムを作成することも自由です。独自の地図スタイルを作成し、OSMデータの可視化を行うこともできます。私達は、地理空間情報は1つの自由なデータベースとして、万人に開かれているべきだと信じています。

マッピングって難しいの?
いいえ、難しいものではありません。OpenStreetMapの世界は、ポイント(ノード)、ライン(ウェイ)、エリアとリレーション、という要素の組み合わせで構成されています。要素はそれぞれ、(name=Africa のような)タグを値として持っています。例えば、児童公園はエリアとして形状が描かれ、以下のようなタグを持っています。
name=Happy faces
leisure=playground
opening_hours=10:00-20:00

ゴミ箱や自転車修理場などの小さな地物はノードで表現します。ウェイは、道路や歩道、小さな河川などに使います。エリアは、森林や建物、湖沼のような地物に使います。
よくマッピングされている地物には、以下のようなものがあります(これ以外にも多くの地物があります。詳しくはwikiを参照ください)

どうやったら編集に参加できるの?
コンピュータを使った編集作業では、主に2種類のエディタが使われます。ブラウザを使ったエディタ iD、そして上級者向けのソフト JOSMです。スマホから情報を追加するには、私達の地図を表示できるようなアプリをインストールすると、編集機能が用意されていることがあります。アプリの一覧はこちらを参照ください

守るべきたいせつなことはなんでしょう?

ヘルプが必要なときは…

  • Wikiを検索してみてください。数多くのタグがそこで解説されています。タグの議論ページや、taggingメーリングリスト過去ログを検索するのも役に立ちます。
  • 他の地域を探してみて、同じような地物が描かれているか見てみましょう。大都市やヨーロッパを中心に、素晴らしく詳細に地図が描かれています(例えば、ゴミ箱の色まで記録されている場所もあります!)
  • 質問してみましょう! 他のマッパーたちがきっとあなたをサポートしてくれます。help.openstreetmap.org や、フォーラム、地域ごとに用意されたメーリングリストIRCチャンネル/r/openstreetmapなどで質問してみてください。また、その他にも、多くのソーシャルメディアではコミュニティ・グループが用意されています。

意識しておくべきこと

  • 修正した地図の情報は、承認プロセスを経ることなく公開されます。記載する内容にはくれぐれも注意し、正しい情報だけをアップロードするようにしてください。アップロードされたデータは、車のドライバーや歩行者、自転車乗り、時にはカヌー愛好者にも使われます!
  • wikiやその他の場所で紹介されているタグで、適切な内容を見つけられなかった場合、新しいタグを自分で作ってもかまいません。
  • wikiには多くの情報が記載されていますが、時折、相互に矛盾した内容や通常よく適用される使い方とは異なった説明が記載されていることがあります。
  • wikiで新しいタグを設定するにあたり、公式のタグ制定提案を行うことは必須ではありません。しかしながら、提案プロセスを行うことで、有用なフィードバックを得ることができ、タグの内容をより明確に定義することができるようになります。
  • 航空写真は撮影された年代が古い場合があります。また、実際に取得されたGPSトラックと比べてオフセット(画像のズレ)が発生していることがあります。

よいマッピングとは

ぜひこちらを御覧ください: グッドプラクティス入門!

例えば、

    • オブジェクトが何であるかを説明するためにnameタグを使わないようにしましょう。例えば、name=benchではなく、amenity=benchと記述します。nameタグは実際に名前がつけられている地物に使います。例えば学校やレストランなどです。(詳細は Namesのページを参照ください)
    • 土地利用(landuse)と道路(street)はくっつけずに描きましょう。くっつけて描いてしまうと、後日修正を加えることが難しくなるばかりではなく、混乱のもとになります。
    • 加えられた変更をむやみに削除しないようにしましょう。まずは対象の変更を行ったマッパーに対して、その変更がどのような意図であったかを問いかけてみてください。もしかしたら、あなたが参照している衛星画像が古い内容なのかもしません。
    • OSMデータはさまざまな方法で可視化され、多くのウェブサイトやアプリケーションで使われます。www.openstreetmap.orgで表示させるためだけに間違ったタグを使うことは避けましょう。

その他のこと

Pascal Neisさんが運営しているこちらのサイトでは、あなたの近所で活動しているマッパーを表示することができます。もしよかったらコンタクトしてみましょう。

これから開催されるOSMイベント。あなたの家の近くでミートアップが開催されるかもしれません。実際に対面で編集者とあってみることは良いことです。

楽しみながら、これまでにない最高の地図を作りましょう!

Pokémon GOは大人気のモバイルゲームであり、OpenStreetMapのデータを”出現ポイント”としてゲーム内で使っています。これによりOpenStreetMapのことを知るかたが増え、Pokémon Goプレイヤーが今後、OpenStreetMapに貢献するようになってくれることを期待しています。

OpenStreetMap はオープンなライセンスのもとで、誰もが利用可能な自由な地図データの提供を目的とした世界規模の複数人参加プロジェクトです。世界各地のボランティアは、自身の住む地域における現地知識を提供し、これまでにない最高の地図を作り上げるために時間を費やしています。プロジェクトへの貢献は、地図データの改良GPSトレースのアップロード、プロジェクトの認知度向上、wikiの編集や翻訳、ボランタリ活動としてのワーキンググループへの参加、募金OSM財団への加入などを通して行うことができます。OpenStreetMapの編集を行うためにOpenStreetMap財団に加入している必要はありません。

OSMF商標ポリシーの変更について


OpenStreetMap Foundationは、2018年1月1日より商標ポリシーを変更しました。ポリシー変更作業はOSMFのボランティアによるLicensing Working Groupが担当しました。

変更後の商標ポリシーはこちら

OpenStreetMapの拡大鏡ロゴ。新しい商標ポリシーの対象のひとつです

OpenStreetMapがマークを保持する理由

OpenStreetMapマークはOpenStreetMapそのもの、およびオープンな地図データを世界中に届けるというその活動を表すものです。OpenStreetMapの名称とロゴを見た時、OpenStreetMapにまつわる数多くのコラボレーションや厳密な作業結果に基づく高品質な地図を思い起こします。商標を保護することにより、そうした想起のつながりを維持したいと考えています。

本商標ポリシーの目的は?

質・量ともに豊かな、そして意欲に溢れたボランティアコミュニティの善意によって、OpenStreetMapの印は成り立っています。OpenStreetMap Foundationはこのポリシーを用い、この印の利用がOpenStreetMapのミッションを一貫して表現し、OpenStreetMapムーブメントを促進することを保証することによって、それらボランティア参加者の善意を保護・保持したいと考えています。

本商標ポリシーとその他多くの商標ポリシーとの違い

本商標ポリシーは、OpenStreetMapをつくりだす貢献者たちに対し、商標に関するライセンシングを可能な限り簡便に提供できるよう意図しています。マークを利用する際、ほとんどの場合は商標のライセンシングを不要であることを明確化し、コミュニティに焦点を当てたイベントや広報活動をOpenStreetMapのマークの商標ライセンス対象外とすることを定めています。OpenStreetMap Foundationは、このポリシーがOpenStreetMapのさらなる広がりや貢献の促進、そして高品質のデータの証としてマークが機能し続けることを願っています。

変更後の商標ポリシーは以下の情報を含んでいます:

  • OSMマークの利用法
  • OSMマークを事前連絡無しに利用した場合
  • 利用に際して許諾が必要な特殊例
  • 禁止する利用法
  • 非認可の利用

変更内容抜粋:

非公式のローカルグループへのドメイン登録提供

OpenStreetMap Foundationは、非公式のローカルグループするドメイン名登録の提供を開始しました。ドメイン名の登録が完了した後は、商標ポリシーが定める間、他のユーザグループとの競合を起こすこと無く、グループのウェブサイトを可動させ続けることが可能となります。ただし、これはあくまでも、非公式のユーザグループに対して行われる措置であり、地域支部は対象外となっています。詳細は商標ポリシーを参照ください。

イベントとカンファレンス

OpenStreetMapに関連するイベントやカンファレンスの開催を検討している場合は、商標ポリシーを一読ください。

質問はこちらまでお寄せください

もしあなたが実施しようとする利用方法が、本ポリシーやあるいは地域の商標権の保護に沿っているか不安な場合は、遠慮なくOSMFの窓口 trademarks@osmfoundation.org までご連絡ください。

legal-talkメーリングリストへの参加

legal-talkメーリングリストでは、ライセンシングや著作権の取り扱いを含む、OpenStreetMapの法的な側面に関するあらゆる議論を対象としています。メーリングリストへの参加、あるいは過去の議論を参照したい場合は https://lists.openstreetmap.org/listinfo/legal-talk を参照ください。

Licencing Working Groupとは

Licencing Working GroupはOSM Foundationに設置された7つの作業部会(Working Group)のひとつであり、実践的で一貫性のある、そして明確なライセンシングを通じ、オープンな地理空間データの広報活動を行っています。活動に興味をお持ちの方は legal@osmfoundation.org までご一報いただき、ぜひ参加いただければ幸いです。

貢献者100万人突破!

先日、OpenStreetMapの地図編集貢献者が、100万人という喜ばしいマイルストーンに到達しました。私たちのプロジェクトが開始されて以来、1,000,000もの異なる人々がユーザアカウントを作成し、地図を編集した、ということです! 100万人という数の持つ価値は計り知れないものであり、私たちのコミュニティがこれからも発展し続けることを意味しています。

“本質的に、OpenStreetMapは参加者が訪れた場所や住んでいる場所、働いている場所に関する知識をシェアする人々の活動です。この素晴らしいプロジェクトは、100万もの人々がそれぞれ自分の時間を費やし、この世界に住む他の人々が自分たちの歩む道を見つけるための手助けをすることで成り立っています”

Peter Barth – OSMF理事

もしOpenStreetMapにまだ参加していないかたも、ぜひこの機会に参加をいただき、100万人の人々と肩を並べてみてください。登録はこちらから、そしてあなたの住んでいる地域をマップしてみましょう!

2013年に登録者100万人を超えたことを覚えているかたがいるかもしれません。2013年は登録済みのユーザの総計で、それ自体も非常に意義のある数字ではあるのですが、サイトに登録したからといってその全員が地図作成に貢献したわけではありませんでした。(登録したユーザが地図編集までたどり着かない理由は過去数年間の議論の対象となってきましたが、同様の参加傾向は他のオンラインコミュニティでも発生しています)

Simon Poole氏は変更セットのログを集計し、地図作成への貢献者の数が100万を越える瞬間を刻んできました:

 

Simon氏の日記エントリーには、最近利用されている編集ソフトウェアの傾向分析なども行われています。またもちろん、‘stat’ページにもその他多くの統計が記録されています。

さぁ、この素晴らしい成果を寿ぎ祝いましょう! そして、100万人という数はこれからも増え続けます!