Monthly Archives: February 2024

最新の(そして復活登録としての)OSMF地域支部として、ようこそOpenStreetMap Belgium

by Arnalie Vicario

 OpenStreetMap Belgiumが(再び)OpenStreetMapの 地域支部となりました。ここに祝福します!

昨年一年間は、OSM.beにとって再建の年でした。そして、地域支部の資格回復はまさに嬉しい果実となりました。地域支部という公式な地位は、外部組織と協力する際にその組織の真剣さとプロフェッショナリズムの証左となり、また、OSM.beメンバーにはOSM Foundationの政策立案におけるリーダーシップの機会を提供します。

このブログ投稿の声明として、OpenStreetMap Belgiumの理事は次のように述べています。

2023年は我々にとって、独立した組織として再出発するという困難な年でした。しかしそれがもたらした良い点として、私達は今やはるかに複雑さを排した組織になりました。さらに、我々の定款は今や法的効力を持ち、OSMスタイルのリーダーシップにより適応した規則を設定できるようになりました。

OSM.beの2024年の目標には、重要なマッピングタスクの促進とメンバープロジェクトの支援が含まれます。彼らはまた、カメラ購入助成プロジェクトを継続し、Mapillaryと協力してヨーロッパ全土にさらに多くの360度カメラを配布し続けます。 そしてもうひとつ、ワクワクするプロジェクトとして、ベルギーのためにPanoramaxインスタンスの構築があります。このプロジェクトは、政府や大学と提携し、サーバーに関する協力関係を築く段階にあります。

背景

OpenStreetMap Belgiumが初めての地域支部となったのは2018年5月24日でした。 当時、OSM BelgiumはOpen Knowledge Foundation Belgium(OKFN)の下で運営されていました。OSMFとOpenStreetMap Belgiumの間の地域支部契約は、OSM BelgiumがOKFN Belgiumを辞任した後の2023年9月に終了しました。2023年11月、OSM Belgiumは独立した組織として再び地域支部の地位を申請しています OpenStreetMap Foundation理事会は、 2024年1月25日にその申請を承認しました。

from https://openstreetmap.be/

OpenStreetMap Belgiumコミュニティに感謝します。OSMに関する素晴らしい情報を広め、そしてオープンデータ、地元知識、コミュニティの力を人々に示す活動、ほんとうにありがとうございます!!

地域支部に申請する方法

Local Chapters and Communities Working groupまで、メール local@osmfoundation.org で連絡するか、コミュニティフォーラムのスレッド Local Chapters: What To Know and How to Join に質問を投稿してください。

OSMF地域支部について詳しくはこちら:


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

2023年、OpenStreetMapをサポートするための寄付総額は、マッパー、大学、企業、非営利団体あわせて37万3000ポンドに到達

昨年一年間で、グローバルなOpenStreetMapコミュニティは、法人メンバーやパートナーの協力も合わせて、37万3000ポンドという驚異的な額の寄付を行いました。

19歳を迎えたOSMの誕生日に対する驚くべき支援の気持ちの表れとして、マッピングコミュニティは小口寄付を通じて、合計1万13000ポンド以上を寄付しました。幅広いコミュニティメンバーが行った、この熱心な支援活動では、世界中からの約3,089件の寄付が生み出され、平均36ポンドの寄付が行われました。OSMの資金調達委員会は、寄付だけでなく、supporting.openstreetmap.comへのSNSでのシェアや親切で励ましのコメントに感謝しています。誕生日に行われた資金調達キャンペーンへの好意的な反応は、その年のハイライトでした。心より御礼申し上げます。

寄付活動ではOSMの法人パートナーも重要な役割を果たし、法人メンバーシップからの寄付は20万1074ポンドに達しました。Microsoft、NextGIS、Smoca、Elasticsearchからの法人メンバーシップは、通常会費以上の寛大な寄付が寄せられ、寄付総額は合計37万3000ポンドに達しました。また、法人顧問委員会にも感謝申し上げます。彼らの助言と協力は、パートナーシップの成功に不可欠でした。ありがとうございます!

特にNextGISには感謝の意を表したいです。彼らはデータ販売からの利益の10%をOSMに寄付することを約束し、プロジェクトへのコミットメントに印象的な基準を設定しました。  

19歳を迎えたOSMの誕生日に対する驚くべき支援の気持ちの表れとして、マッピングコミュニティは小口寄付を通じて、合計1万13000ポンド以上を寄付しました。幅広いコミュニティメンバーが行った、この熱心な支援活動では、世界中からの約3,089件の寄付が生み出され、平均36ポンドの寄付が行われました。

また、ハードウェアやその他のインフラの寄付を通じて、OSMがその使命を果たす上で重要な“実働による”支援を受けています。 Fastlyにより提供いただけたファイルサービスのコンテンツデリバリーネットワークには大きく感謝しています。また、その他、TomTom、Bytemark、AWS、University College London、 AARNetAWSAcademic Computer Club、Umeå UniversityAppliwaveBytemark、Equinix Amsterdam、Equinix Dublin、 ExonetricINX-ZANetAlertsOSUOSLOVHScalewayなど、OpenStreetMapに貢献してくれている全ての方々に、改めて感謝の意を評します。

そして、supporting.openstreetmap.orgの新しいウェブサイトの提供を、大幅な割引価格で実施してくれた Kevin Bushawさんにも特に感謝したいです。

 2023年にいただいた資金は、今後、インフラの強化、SSREをはじめとする重要なサポートスタッフの支援、そしてOSMの将来の発展に向けて役立てられます。

OSMのローカルコミュニティを代表して、OSMF理事会は2023年に世界各地で開催された、ローカル開催のSotMをスポンサードしてくれた企業に感謝します。この種のサポートはローカルコミュニティにとって非常に重要です。なぜなら、OSM財団自体は、いただいた寄付金が特定地域のイベントに向かうことを企業に保証することはできないからです。(ただし、スポンサーシップ配分契約の一環としてお金が指定されている場合を除きます) 地域のイベントを直接支援する企業は、コミュニティと地図の品質に対してポジティブな違いを生み出しています。

最後に、皆様からOpenStreetMapまでいただいた寛大なお気持ちは、OSMプロジェクトだけでなく、より広範なオープンソースソフトウェアおよびデータコミュニティへの気持ちでもあります。あなたの寄付の影響は財政的な面だけでなく、クリエイティビティ、問題解決、コミュニティ構築の基盤となる世界へのコミットメントとなります。

OpenStreetMapへのサポート、ありがとうございます!


The OpenStreetMap Foundation is a not-for-profit organisation, formed to support the OpenStreetMap Project. It is dedicated to encouraging the growth, development and distribution of free geospatial data for anyone to use and share. The OpenStreetMap Foundation owns and maintains the infrastructure of the OpenStreetMap project, is financially supported by membership fees and  donations, and organises the annual, international State of the Map conference. Our volunteer  Working Groups and small core staff work to support the OpenStreetMap project. Join the OpenStreetMap Foundation for just £15 a year or for free if you are an active OpenStreetMap contributor.

2024年: OpenStreetMapベクトルマップの年

本年、OpenStreetMapは、 openstreetmap.org に対してベクトルタイルを導入することにより大きな飛躍を遂げます。これは、その進捗状況を共有する第一報であり、今後も引き続きブログでの報告を行う予定です。

ベクトルタイルプロジェクトを主導にあたって、OpenStreetMap Foundationは地図調製とオープンデータの分野で著名なPaul Normanさんを採用しました。Paulさんは、2010年にxkcdフォーラムでの偶然の出会いからOpenStreetMapの旅を始め、2013年にはOpenStreetMap Cartoでの仕事でコミュニティでの役割が本格化しました。OSM Foundationへのボランティア参加歴はプロジェクトへの彼のコミットメントを占めており、複数のワーキンググループへの貢献やOSMF理事の在任などが挙げられます。職業上では、MapQuest、CartoDB、Wikimedia Foundation、Amazonで様々な影響力のあるポジションを務めており、数十億人が彼の仕事の成果を目にしています。  Paulさんの詳細な情報は彼のブログ に詳細があります。 また、ベクトルタイルに関する技術的な詳細については、Mastodon または Twitterのフォローをお願いします。

ベクトルタイルは、地図データが処理および表示される方法における重要な進化のひとつです。 . 伝統的なラスタタイルは静的な画像 であり、ピクセルによって表現されますが、ベクトルタイルはマッピングの世界における “SVG” のような技術です。これにより、地理データが動的なスタイリングとインタラクティブ性を可能にする形式で保存され、データを変更することなく地図表示の視覚的な外観を適応させることができます。これは、他の地図で見たことのあるものと同じようなもの、と思われるかもしれません。はい、まさにそれです!  ベクトルタイルは、openstreetmap.orgとは違って頻繁に更新されることがない対話的なマップで業界標準の技術であり、必要に応じてデータベース全体を単純に再計算できる状態となります。

ただし、 openstreetmap.org に表示される地図は、その他の地図とは全く異なっています! OpenStreetMapの地図は、常に、編集した1分後には更新されます。これはマッパーへのフィードバックループの重要な部分であり、このブログを投稿している私が最初に引き込まれた理由です。なぜ私たちが、独自のベクトルタイルソフトウェアスタックに投資しなければならないのか、その理由がまさにこれなのです。

直近の未来では、ユーザーにとって、 openstreetmap.orgにおける新しくモダンな外観の地図スタイルとシームレスなズームを意味します。より先の未来を見据えると、このベクトルタイルプロジェクトが成立することによってボランティアやタイル利用者が利便に感じる最も素晴らしい部分は無数のアイデア、例えば3Dマップ、効率的なデータのミキシングとマッチング、他のデータセットとの統合、テーマ別のスタイル、多言語マップ、行政区画の異なるビュー、Point of Interestのインタラクティブな表示、視覚障害のユーザー向けのよりアクセスしやすい地図表示など、まだ誰も考えつかないであろう多くのアイデアであります。このベクトルタイル技術は、審美眼的な進化だけでなく、機能面でも大きな飛躍であり、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させます。

2021年の コミュニティ調査 (15ページ参照)では、財団がベクトルタイルに対して何をすべきか、明確な意見がありませんでした。ただし、アプローチについて、ボランティア主導の開発を支持する人もいれば、専門家の参加を支持する人など、いくつかの志向を読み取ることができました。その後、エコシステムは進化し、既存のソフトウェアの上に仕組みを構築することが容易になりました。私たちはこのプロジェクトを、2つの人気のある回答の間でバランスがとれた形態であると見なしています。  コアソフトウェアへの投資も、私たちの数年にわたる戦略計画の一環です。

OpenStreetMap Foundationは、このプロジェクトを完了するために寄付に依存しています。特に私たちのベクトルタイルの年をサポートしたい場合は、  寄付メッセージ に”vector tiles”と記入できます。 どんな形の貢献も、大きな貢献も小さな貢献も、OpenStreetMapがすべての人に対してオープンでアクセス可能でダイナミックであることを確実にしようとする私たちの試みを、直接的に支援するものとなります。あなたの支援はただの寄付ではなく、オープンソースマッピングの未来への投資となります。

私たちはこのワクワクする旅をはじめたばかりです。これからのブログ投稿では、スキーマとスタイルの側面にさらに深く踏み込んでいきます。お楽しみに!

OSM、国連関連機関の”Digital Public Good”に選出

by Craig Allan

OpenStreetMapは、国連が推薦するマルチステークホルダー・イニシアチブであるDigital Public Goods Alliance (DPGA)に申請し、このたび”Digital Public Good”として登録されました。 この登録は、OpenStreetMapがグローバルな経済発展において積極的な役割を果たしていることを認識してもらうための重要なステップです。

DPGAに正式に登録することで、OSMプロジェクトはさらなる正当性を獲得し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の推進と結びついた国際的な知名度を高めることができました。

Public Goodとは?

“public good”という言葉は、無料で、無尽蔵にあり、競争のないものを表すために経済学者によって考案されました。太陽の光はその良い例で、コストがかからず、枯渇することがなく、隣人がたくさん使っても自分の供給が減ることはありません。

太陽の光と同じように、OSMデータもまた、無料で、好きなだけ使うことができ、隣人がたくさん使ったとしても、自分の供給がなくなることはありません。注意するべきは、Public Goodであるのはデータであって、サーバーではないことです。私たちのサーバー・コンピューターは無料ではなく、限られた資源なのです。

世界をより良い場所に

2019年、グローバルな開発を支援するデジタル協力について検討するため、国連において専門家パネルが招集されました。彼らの作成した報告書 “デジタル相互依存の時代/The Age of Digital Interdependence”では、主に5つの提言が示されています。5つとも素晴らしい提案ですが、提案5は国連がグローバルなデジタル協力を促進すべきだとしており、OSMにとって特に関連性が高いものとなっています。正確な文章は以下の通りです:

“Digital Public Goodは、特に中低所得国にとって、持続可能な開発目標を達成するためにデジタル技術とデータの可能性を最大限に引き出すために不可欠である”

これはつまり、国連は、国連の合意した開発目標を中低所得国が前進させ、達成できるようにするためのツールとして、自由・オープン・ソフトウェアとデータの利用を推進している、ということです。この利用促進提案が特に重要なのは、自由なデータは自由なソフトウェアと相性がよく、この2つのツールは最貧国政府でさえも広く利用することができるためです。さらに、自由なデータやアプリを利用することで、政府は裕福な国の企業にライセンス料を支払うために乏しい資源を流用することなく、開発を進めることが可能となります。

そして国連は、提案5の実施機関としてDigital Publilc Good Allianceを設立し、開発のためのDigital Publilc Goodの開発と利用を促進することを使命としました。

DPGAは、承認されたオープン・システム、オープン・アプリケーション、オープン・データの登録簿を作成し、グローバルな開発の進展のために誰もがアクセスできるようにしました。

なぜOSMにとってこれが重要なのか?

OSMは世界的な開発において大きな力を持っていますが、認識されていない分野もあります。OSMデータは、多くの人道的活動を支え、様々な専門分野の学術研究をサポートし、多くのソフトウェア開発、特に地理とナビゲーションのアプリケーションの構成要素となっています。OSMデータはまた、国連機関、国際NGO、世界中のあらゆるレベルの政府によってすでに広く利用されています。

DPGAに正式に登録されたことで、OSM運動はさらに正当性を増し、国連の持続可能な開発目標の推進と結びついた国際的な知名度を獲得しました。もっと簡単に言えば、これは私たちのほとんどがずっと前から知っていたように、OSMはすべての人にとって世界をより良い場所にするための素晴らしいツールだと、国連も考えているのです。

今回認証が完了したことで、OSMとそのパートナーの正当性と知名度を高め、新たな機会を生み出します。重要な分野のひとつは、政府の労働環境にあります。Public GoodとしてのOSMが認証されたことは、国、地域、地方レベルの政府機関に門戸を開き、OSMの利用を促進するために利用可能である、ということです。OSMは政府が保有するデータにアクセスする機会を得ることができ、また、OSMのマッピングコミュニティを強化するための政府資金や、OSMの提供システムを強化するための様々なリソースを得ることができ、すべての人に利益をもたらすことが可能となります。

(注: OSM財団はまだ政府内でOSMの使用を奨励、促進する戦略を策定していません。これはまだアイデア段階です)

OSMとそのパートナーの知名度と正当性を高めることは、OSMへのフィランソロピー投資の事例を作ることにもつながります。

最後に、ややうがった視点で見れば、OSMはもともとSteve Coastさんによって、政府による地図作成規制への対応として作られたものである、ということが挙げられます。ただ、自由でオープンなマッピングが、多くの政府機関のマッピングの基礎となるのであれば、それは実に喜ばしいことに違いはありません。