新理事によるフィールドレポート

New foundation board member Peter Barth

選挙の日から一ヶ月、新しく着任した理事メンバーとして、私が受けた印象について短いブログを書いてみたいと思います。私はこれまで何度か理事会合を傍聴したり、OSMFのワーキンググループとして参加したりしてきましたが、それでもなお、事を成し遂げるにあたって、多くの学ぶべき事柄や親しむべきツールがありました。この投稿は超専門的、というわけではありませんが、OpenStreetMap Foundation理事がどのような活動を行っているかに興味のあるかたにとっては有益な読み物になるとよいと思っています。

インフラ

選挙の結果が出ると即座にいくつもの処理が行われ、多くのサービスへの新しいアカウントが発行されました。まだ記憶に新しいですが、選挙が終わった時間は 2015年12月12日19:00 (CET)です。その6時間後、私は理事の内部メーリングリスト (board@アドレス) に登録されました。もしかしたらもっと登録は早いかもしれませんが、00:27の時点で、私のもとには理事宛てのメールが到着しています。このメーリングリストは理事同士の主なコミュニケーション手段となっており、多くのことがここで議論されます。一方、このアドレスは誰でも利用することが可能で、もしあなたが何かしらの疑問を持っている場合、このアドレスにメールを送ることで全理事にメールが送付される仕組みになっています – ただし、メールを読むことができるのは理事のメンバーだけとなっています。そこで流れるメールは、流量についてだけいえば、本日までの状態で266通となっています。選挙終了から25時間で、@osmfoundation.orgの個人メールアドレスが用意され、理事として公式に発言を行いたい場合に利用するべき環境が整いました。これらのアドレスに送付されるメールは、設定にもよりますが、Googleで処理とアーカイブが行われます。

同じ日のうちに、公開版のOSM Foundation wikiと、理事専用のプライベート用wikiのアカウントが用意されました。後者のwikiは内部限定で、例えば現在では、新しいメンバーが必要とする素材が記載されています。私個人はまだあまり変更まで至っておらず、必要となる情報や手順など、30ページもあるその内容を熟読したところです。

上記に加えて Loomioというサービスがあり、いわゆる持ち回り決議など、ミーティング以外で理事が意思決定を行う際に利用されています。これは私からすれば余計な手間のかかるサービスですが、現状や懸念点の明確化をきちんと検討しつつなるべく簡易に解決方法を管理し、また、メールで行われる際に参加者が少なくなってしまう、という問題を解決することを目的として、しばらく前に導入されています。(今期の最初の持ち回り決議が終了した際、すべての理事メンバーが投票を行ったのを初めて見た、とPaulさんはいぶかしげにメモを残しています) どちらにしろ、このツール自体はよく整理されており、使うのも簡単で、グループの中で何かが起きた時にメールで通知を受けるかどうかを選択することも可能です。

理事にはチケット管理システムはありませんが、素晴らしい能力をもった人間トラッカー: Paulがいます。彼はメーリングリストから課題を収集し、あらゆるものを抜け漏れ無く管理しています。それ以外に、すべての理事は自分自身のオープンな課題を持っています。すべての人にとって幸せ、というわけではありませんが、私たちは今期、また別の手法を採用してみるかどうかを検討しています。アサインや対応が必要な課題をGitHubのIssue Trackerで追跡することをお試ししているのはそれが理由です。私たちは現在、どのように使ってゆくかを検討しています。

その他にもいくつかのツールが使用されています。しかし、それらのツールを使うために特殊なセットアップは必要ありません。例えば、日付に関する調整を行うためにDoodle、ミーティングのためにMumbleを使っています。理事同士で会話するときのためにIRCチャンネルも用意されていますが、すべてのひとがIRCを使っているわけではなく、議論というよりもチャットツールとして使われています。最後に、メンバー・データベース用に CiviCRMが用意されており、WordPressプラグインから使うことができます。しかし、招待メールを私が見逃していたため、この情報にアクセスするにはしばらくの時間がかかってしまいました。

法的な義務

法人登記を行うにあたって、事務局は “重役に関する情報” を得ておく必要があるため、生年月日や住所など、私はいくつかの個人的な情報をPaulさんに教えています。これは組織重役としての責務であり、英国法に従い、これらの情報は公開される必要があります。

また、財務管理者の副担当となったため、組織の銀行口座を扱えるようにしました。バークレイズ銀行でカスタマーサポートにあたってくれた素敵な女性のロンドン訛りを理解するのに苦労しつつ、その解説を理解することができました。サポートしてくれたFrederikさん、ありがとうございます。最終的に、私のIDの公式複写、数多くのフォームへの入力、これらの入力のひとつひとつへの署名を注意深く行う必要がありました。また、これはまだ処理を行っている最中です。もし問題が発生した場合は、バークレイズ銀行のかたにお会いするためにフランクフルトに足を伸ばす必要があるかもしれません。

実務開始

ここまではすべて準備段階。では、選挙の後、理事はどのような活動を行ったのでしょうか。

これまでの数週間で私たちは、今年度の予算申請など、各ワーキンググループに関するいくつかのタスクを進捗させました。残念ながらこの期間に、DWGにおいて、理事の関与が必要な法的な問題が発生しました。私たちはどんな時もワーキンググループと密接に、長い時間をかけて対話を行い、彼らの本来の業務に影響を及ぼさないように支援を行うよう活動しています。当然ながら、参加している人々の考え方は異なっており、議論にはさまざまな意見が出されており、近々、小さくはありますが重要な変更が行われることが期待されています。実際の作業については各ワーキンググループにおいて処理されており、その存在はOSMFとOSM全体において必要不可欠です。加えて、私たちは複数のNGOからの照会に対応したり、私のような初心者からのちょっとした質問事項にも対応したりしていました。

もし活動の中でなにかしらの決定や判断を行わざるを得なくなった場合、理事の中でコンセンサスを得るために、投票が行われます。一ヶ月に一回行われるMumbleでの音声ミーティングか、あるいはLoomioで行われる議論か、その判断の緊急度や、緊急決議ミーティングを開く必要があるほど入り組んだ事柄かどうかによって判断が行われます。決議においては、その決議議題が大多数の同意を得られるかどうかが必要で、賛成が過半数に達する必要はありません。理論的には、1票の賛成だけで判断を下すことも可能です(そういう事態になったことはまだありませんが)

まとめ

私はようやくこのやり方に慣れてきているところで、私がアジェンダとして提示したチャレンジ、そしてもちろん、他の理事たちも同様に、各人のチャレンジに取り掛かろうとしているところです。私たち理事は常に、osmf-talk@メーリングリストや個人へのメール、OSMF全体へのメールなど、さまざまな手段で情報や視点の提供、そして貢献を求めています。もしあなたの提示する議題が既に理事の中で話し合われているものだとしても、関係者のなかでもう一度そのトピックについて議論したり、なにかを提案したり、回答を求めたりすることは素晴らしいことであり、必要不可欠だと感じます。osmf-talk@メーリングリストでの活発な議論と貢献をこれからも続けてゆきましょう。

最後に、これから理事になろうと考えているかたや各ワーキンググループに参加して貢献を考えているかた、あるいは、先ずOSMFにメンバーとして参加してみようと検討しているかたに、この投稿が有益なものとなることを願っています。

Peter Barth

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