Monthly Archives: February 2015

2015年のOpenStreetMapイベント

OpenStreetMap Foundationは2007年からこれまで、State of the Map (SotM)カンファレンスを年次で開催してきました。このイベントはコミュニティ以外にも広く知れ渡り、20人強でしかなかった参加者数も、SotM 2013では300人を超えるほどとなりました。本年、SotM 2015のホストとして2つの都市から素晴らしい内容の立候補を受けています。しかしながら、私たちの関与の及ばない理由により、開催を取りやめざるを得なくなる可能性が出てきました。SotM作業部会はOSMF理事と協議し、本年はOSM Foundationが主催するカンファレンスを実施しないことを決定しました。

これまでの10年間、OpenStreetMapコミュニティは成長を続けてきました。それはカンファレンスでも同様です。OSMF自体が主催するカンファレンスはありませんが、6月にニューヨークの国連総本部で行われる SotM US や、10月の SotMスコットランドなど、OSMに関係するカンファレンスはすでにいくつか開催が予定されています。その他にも2015年には、多くのウェブ会議、マッピングパーティ、開発イベント、ミートアップが計画されています

UN General Assembly hall

SotM-US will be held at the UN headquarters in New York, 6-8 June 2015
(image CC-BY 2.0 Dan McKay)

SttateoftheMap運営委員会は、2015年、2016年、そしてそれ以降の活動を行うため、何人かの新しいメンバーを迎えました。私たちは現在、このプロジェクトにおけるSotMの役割、そしてOSMF主催のSotMが様々な地域で開催されるイベントとどのように関わってゆくかを視野に入れた、SotMのこれからに寄せる提案を準備しています。すでにいくつかの内容は検討されていますが、私たちはこの投稿のコメントでみなさんの意見を伺いたいと考えています。

State of the Map 2016の準備はすぐに開始されます。また、あなたが活動する地域でSotMを開催することに興味のある方は是非、私たちに一報をお寄せください。

StateoftheMap運営委員会により投稿

OpenStreetMap Foundation 対面ミーティング: 1日目

本日、OSMF理事メンバーとして対面 (Face to Face) のミーティングが行われ、参加をしてきました。いままで他の理事とは何度も顔を合わせていますが、私が理事に就任してからはこれが最初の会合となります。昨今、遠隔のビデオやIRC、Skype、Etherpadなど、遠隔でコラボレーションするためのツールが多く活用されてはいますが、一緒に集まるというのはいまだ素晴らしく、何かを為すにはとても有用です。Aspiration Tech の Allen Gunn (Gunner) さんが、私たちのファシリテートをしてくれました。これは私が記憶する限り、ファシリテートが行われた最初の対面ミーティングですが、その内容はこれまでとは比べ物にならないほど素晴らしいものでした。話し合いの間、結果を出すことから外れないようし、そして特定の話題で時間を取られすぎないようにしてくれるということは、たいへん価値の高いことです。

本日行われたミーティングでは、本年度を通して理事が手がけるべき事柄の優先付けや、いくつかの議題について承認を行うかどうかといった重要な事柄について、体を動かしながらの話し合いが行われました。ミーティングの開始時、部屋の中心に一本の線がひかれ、参加者はそれぞれの議題についての意見を自分の立つ場所によって表現しました。線の片方は “強く賛成” の意見をもつ場合、もう片方は “強く反対” の場合に立つこととなり、話し合いによって意見が変わる場合には立つ場所を移動しました。この方法は想像以上に効果的に働き、現在の状況がわかりやすく表現されました。もし会ったことのない財団のメンバーが会合を行う場合にこの方法を試すとしても、とても効果的に働くはずです。

Photo Credit: Paul Normal

Photo Credit: Paul Norman

体を動かす活動はもうひとつありました。話し合いの結果の一覧や優先度付、評価を行う際に使われる手法とよく似た方法を使いました。私たちが作業を行ったトピックは取りも直さず、私たちが何を重視しているのか、私たちが本年度で何を達成したいのか、OSMでどのような作業がある/ないのか、そしてOSMF理事としての責任とOSM Foundation全体の責任とは何であるのか、といったことです。私たちは今週さらに議論を深め、その情報をコミュニティに共有する予定です。まず最初に、ポストイットのメモに書かれた内容を書き起こします。ミーティングの最初の結果はとてもわくわくする内容で、これからの活動にも俄然やる気が湧いてきています。

OpenStreetMap.orgでの経路探索実装

OpenStreetMapユーザに大ニュース: メインウェブサイトに、A-to-B方式 (目的地検索) の経路探索が実装されました! これはOSMプロジェクトにおける大きな一歩です。Richard Fairhurstさんをはじめ、この機能の実装に関わったすべての方々に多大なる賞賛を惜しみません。

osm-routing “なんでこれが大きな一歩なの? そんな機能、何年も前からどんなウェブサイトにもついてるじゃないか” そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。これにはまず、OpenStreetMapのメインウェブサイトにおける設計思想、つまり、ワンストップで多くの機能を提供することをせず、真にオープンなデータを創造することによって、関係する人々がそのデータを使ったサービスを作り出すことを促す、としてきた方針をまず紹介しなくてはいけません。この思想があったことによって、これまで数年間、OSRM や Mapquest、Graphhopper、Cyclestreets、Komoot、cycle.travel、その他数多くの素晴らしいウェブサイトが生み出されてきた経緯があります。

しかしそうしたサービスはすべて、それぞれのウェブサイトやアプリケーションの上に実装されてきました。そのため、ユーザはそれらのサービスの力の源泉がOpenStreetMapであることに必ずしも気がつかないことがありました。最終的に実装されたこの実装方式では、 JavaScriptコードを利用して OSMのメインとなるウェブサイトからサードパーティのシステムを利用するという、たいへんすっきりとした手法を採用しています。これは単純に経路探索の機能が使いやすいというだけでなく、”初見” のかたにとっても、そうしたサービスがOSMを使っているということがわかりやすくなっています。

ですが、この実装が大きな意味を持つ、ということは単にこれだけが理由ではありません。

この機能が本当に意味を持つのは、この機能によって OpenStreetMapのデータが多様なフィードバックを得る機会を持った、ということにあります。私たちがOpenStreetMapのウェブページに “スリッピーマップ” を表示しているのは、ユーザが地図を確認し、名称の情報調査が必要な橋や、描くべき建物を見つけ出して、”編集”から対象を直接修正することができるようにすることが大きな理由のひとつです。このフィードバックのサイクルを廻すことによって、OpenStreetMapは世界の様々な地域で、その地域の最も詳細な地図をつくり上げることに貢献してきました。

しかしこのフィードバック方式は、私たちの言葉で言えば “レンダリングされるものがマップされる” という現象を生み出してきました。つまり、地図に画像として表現されない限り、修正や追加が必要なデータがあることに気が付きづらいのです。標準のレンダリングで表示されない多くの地物を描くにあたって、このフィードバック方式をとっている限り、そうした地物はユーザが修正しようという気持ちになりづらいのが実情でした。そしてこの理論は、例えば交差点における “左方向転回禁止” や、”バスのみ” 通行が許可される通行制限、実際には接続されるべき歩道と道路が接続されていないトリッキーなデータなど、地図で表現 “できない” 地物ではより顕著でした。この経路探索機能が実装されたことによって、ユーザはOSMウェブページで直接おすすめの経路を表示できるようになり、ユーザが問題点を発見し、そのまま編集できるようになったのです。最終的に得られるこの成果は、OSMデータを使った経路探索の品質を一段階押し上げるものです。これはすなわち、地理情報データを使ってすべての人々がより素晴らしい成果を得られるようになり、A点からB点へ移動するという行為をより手軽で便利に行うことができるようになる、ということでもあります。

あなたがこれから訪れる場所を、ぜひ検索してみてください!

Blog post by Dan Stowell, Translated by Satoshi IIDA (nyampire)

OpenStreetMap地域支部 – Welcome Iceland

OpenStreetMapコミュニティは地球上のそれぞれの地域で、それぞれのローカルグループを形成しています。今こそ、”地域支部/local chapter”の考え方を明確にすべき時です。既に支部の定義と申請手続きは整えられており、そして、私たちは最初の OpenStreetMap Foundation 公式地域支部を認定することとなりました。openstreetmap-iceland-website

OpenStreetMap á Íslandi” は、オープンで自由な地理情報データを推進する団体である  Hliðskjálfの下部組織です。OpenStreetMapの支部認定手続きを中心的に進められた Hliðskjálf の Jóhannesさん、たいへんおつかれさまでした。

私たちOpenStreetMapにはアイスランドの他にも、少人数のマッパー・グループから、国単位の大きなグループまで、世界各地で様々な規模と種類のローカルグループが形成されています。それぞれの団体はその地域の言葉で OpenStreetMapが存続し続けることを支援し、コミュニティの皆で、その地域の文化と習慣を見つめなおす活動を続けています。地域支部の構想は、グループの名称を中心に長い間議論の対象となっていました。私たちの構想は Wikimedia財団を参考にされています。

そうした長い議論を経て、ようやく私たちは、地域で活動する OpenStreetMapの組織と OpenStreetMap Foundationをつなぐ、地域支部という構想を公式にご案内することができるようになりました。これはOSMFの歩みにおいて大きな一歩となります。具体的な支部の定義、必要事項、手続きは Local Chapterページに解説が記載されています。